
リーガル・プログレッシブ・シリーズ 民事執行〔第二版〕
書籍説明
■解説
基礎理論と実務の運用を詳説!
民事執行の基本的な枠組みや概念から執行手続の具体的なプロセスまでを,実務の視点から体系的にわかりやすく解説。
不断の進化を続ける制度の理解のための必読書!
民事執行の基本書がさらに充実して改訂!
●基本的な枠組み・概念はもちろん,手続のフローチャート,書式及び記載例によって,民事執行の手続全体がわかる
●実務上重要な判例・裁判例をしっかり押さえることができる
●平成から令和にかけての民事執行法改正について正しく理解できる
●適正・迅速な処理により権利の実効性を高めるための実務(東京地裁民事執行センターの取扱いや取組み)を知ることができる
【第二版はしがき】
民事執行はいうまでもなく私法上の権利の強制的実現を目的とする手続であり,そのための手続的規律は適正性と実効性を旨とし,その理念の実現を図るために立法及び実務の運用により不断の進化を遂げている。事柄の性質上,権利の実現を阻害する要因が発生しがちであり,民事執行法制定以降の改正経緯及びその運用に関する実務の取組みは,まさに執行妨害との戦いの歴史であるといって差し支えない。本書の初版が発行されたのは,平成年代を特徴付けるバブル経済の破綻に伴う大量の不良債権処理の必要性から数次にわたる法改正が試みられ,その円滑な手続の実施のための諸方策が実務に定着した時代であったが,令和年代になってからも,執行手続の効率的な実施のための制度改正の歩みはとどまることはない。これに加えて,司法制度そのものが情報通信技術の進展に即応するように迅速化と効率化を図るために手続をIT化することとなり,民事執行手続についても,その推進を図るための法改正により情報技術の活用が促進され,各改正規定が段階的に施行される局面に差し掛かっている。
このような情勢の下で本書も令和の大改正に対応した内容にブラッシュアップする必要があることから,今般,第二版を発刊することを計画した。しかし,初版以来の執筆者5名のうち2名が都合により改訂作業に参加することができなかったため,その余の3名で分担執筆することとした。第3章と第5章の執筆者が交替するとともに,その内容が一新され,その余の第1章,第2章,第4章及び第6章については,一部執筆者の交替があったものの従前の記述を補訂版以降の法改正に対応した記述に変更したのは,以上の理由に基づくものである。
本書は,民事執行の基本的な枠組みや概念を理解しやすいように執行手続の具体的なプロセスを平易に解説することを目的とし,そのため随所に東京地裁民事執行センターにおける運用及び書式に基づき実務の動態を紹介してきたが,その点は第二版においても変更はない。上述のIT化のための民事執行法改正については,現時点においては施行されている部分が少なく,旧制度の説明に付加的に触れる程度にとどまらざるを得なかったので,読者におかれては各改正規定の施行時期に留意しながら説明を理解されたい。この点は,全部の改正規定が施行され,旧手続の説明が不要となった段階でさらに改訂を要するものと考えている。
令和7年12月
編集者 齋藤 隆
執筆者
齋藤 隆:弁護士(ひかり総合法律事務所)/元東京高等裁判所第21民事部部総括判事
河村 浩:明治大学専門職大学院法務研究科(法科大学院)専任教授/元東京高等裁判所判事
鈴木謙也:東京地方裁判所民事第9部部総括判事
飯塚 宏:さいたま地方・家庭裁判所熊谷支部・秩父支部判事(補訂版執筆当時)
■書籍内容
【目次】
第1章 総 論
Ⅰ 民事執行の意義
1.私法上の権利とその実現
2.民事執行に関する法制
3.民事執行事件の動態
Ⅱ 民事執行の基本構造
1.実定法上の民事執行
2.隣接諸制度との関係
Ⅲ 民事執行の種類とその対象
1.民事執行の種類
2.執行の方法及び対象等による分類
Ⅳ 強制執行
1.概 説
2.強制執行の要件
3.債務名義
4.執行文
5.執行開始の要件
Ⅴ 担保権の実行
1.概 説
2.担保権実行の要件
3.法定文書
Ⅵ 執行手続の主体
1.概 説
2.執行機関
3.執行当事者
Ⅶ 違法執行・不当執行に対する救済
1.概 説
2.違法執行に対する救済
3.不当執行に対する救済
4.執行の停止・取消し
第2章 不動産執行
Ⅰ 総 論
Ⅱ 不動産競売
1.総 論
2.申立て及び差押え等
3.換 価
4.売 却
5.配当等
6.民事執行法上の保全処分
Ⅲ 担保不動産収益執行・強制管理
1.総 論
2.申立て
3.開始決定等
4.管理人の選任等
5.管理事務における若干の実務上の問題点
6.配 当
7.手続の終了
8.他の執行手続との競合
第3章 動産執行
Ⅰ 総 論
1.動産執行規定の改正経緯等
2.動産執行の沿革・機能・課題
Ⅱ 動産執行の特色
1.対象―動産
2.複合執行―場所単位主義
3.動産競売への準用
Ⅲ 差押えと換価
1.差押え
2.差押えの権限
3.差押えの効力
4.換 価
Ⅳ 執行競合・配当要求
1.二重差押えの禁止
2.事件併合
3.配当要求・交付要求
Ⅴ 配 当
1.概 説
2.弁済金の交付・剰余金の交付
3.配当協議による配当
4.執行裁判所による配当
Ⅵ まとめ
第4章 債権等執行
Ⅰ 総 論
1.債権等執行とは
2.債権等執行の特徴
Ⅱ 非差押適格
1.執行の対象としての適格
2.差押禁止債権
Ⅲ 申立て及び差押え等
1.申立て
2.差押命令
3.差押えの効力
4.第三債務者に対する陳述の催告
5.債権執行事件の終了
6.担保権実行及び物上代位権の行使としての債権差押え
Ⅳ 換 価
1.総 説
2.取立て
3.供 託
4.転付命令
5.譲渡命令・売却命令・管理命令等
Ⅴ 配当等
1.手 続
2.配当等を受けるべき債権者
3.配当等の開始時期
4.配当の順位
5.配当等の手続と物上代位権の行使
Ⅵ 船舶又は動産の引渡請求権に対する執行
Ⅶ 少額訴訟債権執行
1.総 説
2.手 続
Ⅷ その他の財産権に対する執行
1.総 説
2.具体的な手続
第5章 非金銭執行
Ⅰ 総 論
1.非金銭債権の特質とその実現方法
2.給付内容とその強制的実現
3.現行民事執行法による執行方法のメニュー
Ⅱ 物の引渡義務の強制執行
1.概 説
2.不動産の引渡(明渡)義務の強制執行
3.動産の引渡執行
4.第三者占有物の引渡執行
Ⅲ 子の引渡義務等の強制執行
1.概 説
2.子の引渡しの強制執行
3.国際的な子の返還の強制執行
Ⅳ 作為義務・不作為義務の強制執行
1.概 説
2.代替的作為義務の強制執行
3.不代替的作為義務の強制執行
4.不作為義務の強制執行
Ⅴ 意思表示義務の強制執行
1.対象及び適用範囲
2.意思表示の擬制の方法とその時期
第6章 債務者の財産調査手続
Ⅰ 総 論
Ⅱ 財産開示
1.実施の要件
2.手 続
Ⅲ 第三者からの情報取得手続
1.総 論
2.対象となる情報及び情報の提供をする第三者
3.実施の要件等
4.手 続

