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高齢者雇用の実務 実践 Q&A


著者・編者森井労働法務事務所

発行元青林書院

発行年月日2025(令和7)年06月15日


書籍説明

■解説

元労働基準監督署長,社会保険労務士,看護師,弁護士が,多角的な観点から問題点を網羅して解説!
超高齢社会における「高齢者」と「労働」の問題解決のための糸口を示す1冊!


はしがき
 本書は,超高齢社会における高齢者の「労働」の分野に起こり得る「問題」を多角的な観点から捉え,実際に,労働基準監督署の相談窓口で,総合労働相談員としてあらゆる分野の労働問題の相談に乗っている社会保険労務士(森井健史)
 □高齢者施設での勤務経験等から高齢者のメディカルな問題を熟知し,さらに産業保健総合支援センターでも講演やコンサルティングを多く手がけている看護師(森井梢江)
 □長年にわたり労働事件に専門的に取り組み,アカデミックな分野での経験も豊富な弁護士(森井利和)労働局・労働基準監督署における長い実務経験を有する特定社会保険労務士(私・森井博子)がそれぞれの知見を生かして,今後の「問題」のさらなる展開・激化に対応していくために必要な知識等をできるだけわかりやすく解説したことを特長とするものです。
 既に皆さんご承知のとおり,超高齢社会に突入したわが国では,現在,政治・経済・社会のあらゆる場面で問題が発生しています。一例を挙げるだけでも,社会保障制度の財政負担,労働力不足による経済活動の鈍化,医療・福祉の人材不足,高齢者の経済格差,認知症の進行による生活破綻などなど,多方面・多岐にわたる問題があることから,国も,全省庁総掛かりで対策に取り組んでいるところです。
 このような状況の中で,特に「高齢者」と「労働」に関わる部分を取り上げて,現在発生している問題,またこれから発生するであろう問題を中心に,その解決のための糸口を各専門家が提示していこうとしたものが本書です。具体的には,「実務対応」を念頭に高年齢者雇用安定法の解説を行ったほか,高年齢者の雇用と労働に影響を及ぼす社会保険制度,高齢者に多く見られる労働災害の問題と職場での安全衛生対策・健康管理対策,さらには高齢者が職場に増えることでこれからトラブルが多発することが懸念される「働く場」での認知症の問題まで,幅広いテーマを取り上げました。
 ところで,本書の執筆に至った背景には,私がビルメンテナンス業の団体に理事として長く携わってきたということがあります。
 ビルメンテナンス業では高齢の就労者が多いため,そこでは世間より2~3年早いペースで高齢者の問題が顕在化しています。例えば,身体能力が衰えたことにより生じる転倒等の労働災害は際立って多いですし,認知症の問題も様々な段階で生じてきており,認知症が疑われる労働者とのトラブルも認められるところです。
 このような問題は,おそらく2~3年後には,一般にも切実な問題として出現してくることでしょう。世間より早くその問題解決を迫られ,対応にあたってきたからこそ,超高齢社会を突き進んでいくわが国には諸課題の解決のための多角的な観点からの実用書が必要ではないかと強く思い,筆を進めた次第です。
 これから実際にこのような問題に直面することとなる企業の人事・労務部門のご担当者様,また企業に対してコンサルティングを行う弁護士・社会保険労務士の先生方に大いにお役立ていただけるものと思います。ぜひご活用いただければ幸いです。
 令和7年4月吉日
森井労働法務事務所
所長 森井 博子 



執 筆 者
森井労働法務事務所
平成22(2010)年に開設された社会保険労務士事務所。
元労働基準監督署長である所長・森井博子の行政経験を生かして,講演・執筆・労働相談・労働関係企業診断・労働関係顧問・労働基準監督署指摘事項の是正指導・労働安全衛生教育等を行っている。
ホームページ https://www.morii.jimusho.jp

特定社会保険労務士森井 博子:森井労働法務事務所 所長
労働省入省後,愛知,神奈川,山梨,東京労働局等の局署に勤務。池袋,青梅労働基準監督署長のほか,東京労働局監督課主任監察官,安全課主任安全専門官,企画室長,労働保険徴収部長等を歴任。退官後,森井労働法務事務所を開設。

【主な著作】
 『社労士・人事担当者のためのパワハラ・精神障害労災認定調査と労働局・労基署対応実務』(共著,労働新聞社),『労働基準関係法事件ファイル』(共著,日本法令),『労基署がやってきた!』(宝島社),『イラストで解説 パワハラ防止法・指針』(共著,労働新聞社)等。また,専門誌にて長期連載・執筆を行っている。
社会保険労務士 森井 健史 森井労働法務事務所 副所長
人事労務分野において10年以上のキャリアを持つ。現在,都内労働基準監督署にて総合労働相談員としても活躍中。日本人からの相談のみならず,外国人からの労務相談にも英語で対応している。電気通信主任技術者(線路主任技術者),2級知的財産管理技能士,宅地建物取引主任者(現宅建士・未登録),第一種衛生管理者。

【主な著作】
『社労士・人事担当者のためのパワハラ・精神障害労災認定調査と労働局・労基署対応実
務』(共著,労働新聞社)

看護師
森井 梢江:森井労働法務事務所 健康対策推進室長
産業カウンセラー,ハラスメント防止コンサルタント,腰痛予防労働衛生教育インストラクターの資格を保有し,資格に関連するテーマの講演や企業へのコンサルティングを多数実施。東京産業保健総合支援センターメンタルヘルス対策推進員。労働分野のイラストレーターとしても活躍している。

【主な著作】
『社労士・人事担当者のためのパワハラ・精神障害労災認定調査と労働局・労基署対応実務』『イラストで解説 パワハラ防止法・指針』(いずれも共著,労働新聞社),『こんな対応絶対ナシ! パワハラセクハラ イラスト事例集』『こんな対応絶対ナシ! マタハラ・パタハラ イラスト事例集』(いずれも労働調査会)等。また,専門誌にて長期連載を行っている。

弁護士森井 利和:森井労働法務事務所 法律顧問
中央大学大学院法学研究科修士課程修了後,昭和54(1979)年弁護士登録。現在,西東京共同法律事務所所属。元中央大学法科大学院客員教授。

【主な著作】
『社労士・人事担当者のためのパワハラ・精神障害労災認定調査と労働局・労基署対応実務』(共著,労働新聞社),『労働問題を読み解く民法の基礎知識』(共著,労働調査会),『労働基準関係法事件ファイル』(共著,日本法令),『The検証‼ 労働災害事件ファイル』(共著,労働調査会)等。また,専門誌にて長期連載・執筆を行っている。




■書籍内容

第1章 高年齢者雇用安定法に関する問題
高年齢者雇用安定法
Q1 高年齢者雇用安定法の概要
わが国の高齢者雇用施策について教えてください。
1 現行法に至るまでの改正の経緯
2 高年齢者雇用安定法の目的
3 高年齢者雇用安定法の主な内容
Q2 法の施行と履行確保
高年齢者雇用安定法を施行する役所はどこですか?
法を守らない事業主に対しての指導はどのように行われるのでしょうか?
1 法の施行にあたる機関
2 法の履行確保 ─ 65歳までの雇用確保措置
3 法の履行確保 ─ 70歳までの就業確保措置
4 高年法9条の民事的効力
定 年
Q3 定年の定め
当社はIT関連の企業で,若者向けビジネスを展開しています。定年は60歳ですが,定年まで働く社員はほとんどいません。そこで思い切って,実態に合わせて定年を50歳にしようかと考えているのですが,何か不都合はあるでしょうか?
1 「定年」の定め
2 高年齢者雇用安定法の規定と法的効果
3 適用除外
4 法違反に対する指導
5 定年制にかかる判例・裁判例
65歳までの高年齢者雇用確保措置
Q4 定年後再雇用申出の拒否
当社はスーパーマーケットを経営しています。定年は60歳ですが,65歳までの定年後再雇用制度が設けられています。このほど,ある大型店舗で勤務している接客担当の社員が定年を迎えるにあたり,本人から再雇用の申出がありました。しかし,この社員はお客様とのトラブルやレジの誤操作等,業務上の問題が絶えず,周囲はその対応に追われ困っています。上司から指導・教育も行っているのですが一向に改善が見られないため,再雇用しては周囲の負担がますます増加するばかりだと懸念されます。勤務状況が良くないことを理由に申出を拒否したいのですが,可能でしょうか?
1 高年齢者雇用確保措置 
2 例外として継続雇用しないことができる場合
3 継続雇用についての裁判例
4 継続雇用措置をとらなかった場合の行政上の措置
Q5 継続雇用移行時の使用者による変更提案
Q4で相談した社員に関してですが,再雇用するのは仕方ないとしても,再雇用後もこのまま接客業務を続けてもらうということは難しいので,配置転換をしてバックヤードで働いてもらうこととしたいと考えています。ただ,そうすると仕事の内容もかなり変わりますし,賃金も下がります。変にトラブルになっても困るのですが……。
1 問題の所在 
2 行政解釈 
3 指  針 
4 裁 判 例 
5 結  論 
Q6 定年退職時に病気休職中の社員
定年6か月前に私傷病休職に入った社員がいます。このとき,勤続年数による休職可能な期間は1年だったのですが,定年までの期間で休職を発令しました。その後,定年まで3か月という時期になって,「定年後は再雇用(1年間の有期雇用で,原則として65歳になるまで更新する)で働きたい」との申出とともに,「休職期間が残っている間は病気休職で休ませてほしい」との要望を受けました。人事部内には定年退職日の時点で復職できないのであれば再雇用の対象外とすべきだとの意見もあるのですが,どのように考えればよいのでしょうか?
1 結  論 
2 高年齢者雇用確保措置 
3 本問への当てはめ 
Q7 子会社等での定年後再雇用 ─ 要件・手続 ─   
当社の定年は60歳ですが,これまで,65歳までの定年後再雇用制度により,再雇用を希望する社員全員を当社で再雇用していました。しかしながら,定年退職者が増えるにつれ,全員の希望を受け入れた職務を社内で用意することが難しくなってきたため,今年度は数人について,希望業務に関連する職場のある子会社で雇用することとしたいと考えています。ただ,子会社で雇用するとなると,転籍となり,当社で再雇用する場合と比べて処遇は下がってしまいます。問題ないでしょうか?
1 子会社等での定年後再雇用
2 特殊関係事業主
3 事業主間での契約の締結
4 継続雇用先での処遇
Q8 子会社等での定年後再雇用 ─ 就労後のミスマッチ等 ─ 
継続雇用先を当社の子会社としたいのですが,子会社から,「人手不足や売上低迷に対応するために豊富な経験を持った就労意欲の高い高齢社員が必要だが,就労後のミスマッチが懸念されるから,3か月程度の試用期間を設けたい」といわれています。また,当該子会社の売上が低迷していることから,状況によっては契約更新のたびに別の関連会社等へ転籍させる必要が生じることも考えられます。試用期間を設けること,また雇用先と労働条件が流動的になることについて,問題はないでしょうか?
1 再雇用における「試用期間」設定の可否
2 雇用先・労働条件が流動的になることの可否Q9 継続雇用制度下での処遇の不合理性
私は定年(60歳)後に再雇用を希望し,現在も定年前と同じ仕事(トラックの運転手)をしています。ただ,定年前は正社員として無期雇用でしたが再雇用では嘱託職員として1年間の有期雇用(更新あり)となり,基本給も定年前と比べて5割ほど引き下げられています。仕事はまったく同じで,運転手としての能力も変わらないのに,定年の前後でこんなに処遇が変わるのは納得がいきません。巷で「同一労働同一賃金」とよく聞きますが,私の現在の処遇はこれに違反しているのではありませんか?
1 定年後の継続雇用の有期雇用労働者の取扱い 
2 長澤運輸事件
3 同一労働同一賃金ガイドライン
4 その他の注目される判例
5 名古屋自動車学校事件
6 定年後継続雇用の労働条件をめぐる裁判例
7 継続雇用時の処遇に関連する改正
Q10 複線型コースによる継続雇用
当社では近年,事業再構築のために社内の世代交代を重視してきましたが,既存の中核事業を支えるスキルを有する人材が足りなくなってしまったことから,熟練社員の存在意義を改めて評価することになりました。そこで,今年度から一律の継続雇用制度を廃止して,定年時の業績評価・能力評価によって,会社側から①フルタイム・一律処遇,②フルタイム・年俸制,③短時間勤務・一律処遇の3コースのいずれかを提示して継続雇用することとしたのですが,対象者の一人から「会社に一方的にコースを決められるのは不当だ」と抗議されています。当社の継続雇用の仕組みには,何か問題があるのでしょうか?
1 高年齢労働者の多様性・個人差
2 高年齢労働者の多様なニーズに応える「複線型コース」
3 「複線型コース」による場合の留意点
70歳までの高年齢者就業確保措置
Q11 対象者基準・就業規則 
当社は建築設計事務所です。建設業界の人手不足問題は以前からいわれていますが,建築設計の現場でも人手不足は深刻であり,当社では業務の安定的な継続のため,これまで60歳だった定年を65歳まで引き上げ,その後は70歳まで継続雇用する,あるいは業務委託契約を結ぶ形で,長く働き続けてもらうことを検討しているところです。この場合に,例えば無断欠勤が多い者や業務上のトラブルが多い者は対象から外すなど,対象者を制限する基準を設けるようなことはできるのでしょうか?
1 高年齢者就業確保措置
2 対象者基準
3 過半数労働組合等とは
4 就業規則の変更・周知 
5 就業規則規定例
Q12 高年齢者就業確保措置の努力義務者・措置の選択
当社の定年は60歳で,その後65歳までは希望者全員を継続雇用する制度を設けています。現在,65歳から70歳までの高年齢者就業確保措置の導入を検討しているところです。
⑴ どの措置を選択するかはどのように決めればよいのでしょうか?
⑵ 継続雇用を希望した労働者の半数は,当社子会社で65歳までの継続雇用ということで働いています。この人たちについて70歳までの高年齢者就業確保措置の努力義務を負うのは,子会社ですか,それとも当社ですか?
⑶ 子会社が当社に代わって高年齢者就業確保措置を講ずることとなった場合には,どのような措置を講ずることが可能でしょうか?
1 高年齢者就業確保措置
2 特殊関係事業主で継続雇用されている場合の措置義務者
3 特殊関係事業主が高年齢者就業確保措置を講ずる場合
Q13 高年齢者就業確保措置の措置義務の履行
⑴ 当社では現在,創業支援等措置の導入について,労働者の過半数を代表する労働組合との協議を真摯に行っているところです。しかし,なかなか同意が得られません。措置を講ずる努力をしていれば,仮に同意が得られないため実際に措置を講じることができなくても,努力義務を満たしたことになりますか?
⑵ その後,労働組合の同意は得られたのですが,労使合意した措置の内容に関して,一部の者と当社との間で合意ができません。高年齢労働者本人が措置を拒否した場合は,努力義務を満たしていないことになるのでしょうか?
1 問題のポイント
2 過半数労働組合等の同意が得られない場合
3 高齢労働者本人が措置を拒否した場合
4 高年齢者就業確保措置義務違反の場合の行政指導
Q14 65歳以上継続雇用制度
当社では,他の事業主により65歳以上継続雇用を行って,高齢者の雇用を確保することを検討しています。この場合の留意点等について教えてください。
1 65歳以上継続雇用制度
2 他の事業主により継続雇用を行う場合の契約
3 その他の留意点
Q15 創業支援等措置 ─ 全体 ─
当社では,高年齢者就業確保措置のうち,創業支援等措置を導入することを検討しています。実施する場合の手続や留意点について教えてください。
1 創業支援等措置
2 創業支援等措置の実施の手続
3 留意事項
Q16 創業支援等措置 ─ 業務委託契約
当社では,業務委託を行うことにより,70歳までの就業の機会の確保を図ろうと考えています。
⑴ 継続的な業務委託とは,どの程度の頻度を目安とすればよいですか?
⑵ グループ会社の業務を再委託することも認められますか?
⑶ 成果物について修正ややり直しを求めることはできますか?
⑷ 事前に定めた基準を満たす成果物が納品されない場合でも,契約は継続しなければならないのでしょうか?
1 継続的な業務委託
2 グループ会社の業務の再委託の可否
3 修正・やり直しの可否
4 契約の終了・解除の可否
Q17 創業支援等措置 ─ 社会貢献事業
当社では,高年齢者就業確保措置のうち,創業支援等措置における社会貢献事業の導入を検討しています。措置を行う場合の留意点等について教えてください。
1 高年齢者雇用安定法における「社会貢献事業」
2 「事業主が委託,出資(資金提供)等する団体」について
3 「団体」で創業支援等措置を行う場合の契約
4 「団体」で創業支援等措置を行う場合の留意点
Q18 創業支援等措置 ─ 労働者性 ─
就業確保指針によれば,創業支援等措置は雇用によらない措置であるため,個々の高年齢者の働き方について,労働者性が認められるような働き方とならないよう留意する必要があるとのことです。労働者性の判断基準について,具体的に教えてください。
1 労働基準法における「労働者性」の判断基準
2 「労働者性」があるか否かのチェックリスト
3 労働基準法等上の労働者性をめぐる裁判例
助成金
Q19 高年齢者の雇用に関する助成金  
雇用に関連する助成金は多数ありますが,高年齢者の雇用に関して利用できるものもあるのでしょうか?
1 利用が検討できる助成金
2 助成金の利用の検討にあたっての留意点

第2章 社会保険等に関する問題
60歳以上の社会保険等
Q20 保険の加入要件
当社の定年は60歳ですが,65歳までの定年後再雇用制度を採用しています。このたび初めて定年後再雇用の対象者が発生しました。定年後再雇用した場合,社会保険(健康保険・介護保険・厚生年金保険)や労働保険(雇用保険・労災保険)の加入要件は変わりますか?
1 社会保険
2 雇用保険
3 労災保険
Q21 同日得喪
当社の定年は60歳ですが,1年契約で65歳までの定年後再雇用をしています。社会保険の関係で,定年後再雇用の契約時に気をつけるべきポイントがあれば教えてください。
1 社会保険料の変更のタイミング 
2 同日得喪 
Q22 社会保険の加入上限
社会保険には加入できる年齢の上限があるそうですが,定年後再雇用者は何歳まで社会保険に加入したままでいることができるのでしょうか?
1 健康保険
2 介護保険
3 厚生年金保険
4 社会保険料の納付
5 被扶養配偶者の資格喪失年齢
6 留 意 点
Q23 失業給付のための退職
当社の定年は60歳ですが,その後は1年契約で65歳までの定年後再雇用をしています。このたび,ある社員が「65歳になってから退職すると失業給付が減ってしまうから,その前に退職したい」と言ってきました。会社としては65歳までの雇用を確保する義務があるわけですが,どのように対応すればよいでしょうか?
1 失業給付
2 対  応
Q24 在職老齢年金
定年後再雇用をするにあたり,労働者から「年金がもらえなくなるのはいやだから,給料の額を検討してほしい」との要望が寄せられています。在職老齢年金の仕組みについて教えてください。
1 在職老齢年金
2 在職老齢年金の経過
3 令和4年以降の在職老齢年金の仕組み
4 労働者の要望への対応
5 在職定時改定制度
給付金
Q25 高年齢雇用継続給付 
当社の定年は60歳ですが,1年契約で65歳までの定年後再雇用をしています。定年後再雇用時には,労使間での合意のもと,現役の頃と比べて少ない日数・少ない賃金で雇用継続することとしており,その旨の契約を締結しています。こういった場合に利用できる公的給付はありますか?
1 高年齢雇用継続給付
2 令和2年雇用保険法改正
年 金
Q26 老齢年金の繰上げ・繰下げ
老齢年金の受給の時期を繰り上げる,又は繰り下げることができるとのことですが,この制度について教えてください。
1 老齢年金の繰下げ受給・繰上げ受給
2 繰下げみなし増額制度
3 私的年金における受給開始年齢の選択肢の拡大

第3章 安全衛生と健康確保に関する問題
安全衛生対策・健康管理対策
Q27 安全衛生管理体制の確立
当社は製造業です。60歳定年後の継続雇用制度を導入しているため60歳以上の従業員も多数勤務しているのですが,ちょっとした段差でのつまずき,扉開閉時の衝突など,ケガには至らずとも小さな事案が日々見られます。特に工場は,機械への巻き込まれ,化学物質による中毒,高温多湿になりがちな環境下での熱中症など,注意しなければならないことが多くあるため,高齢の労働者のための対策を講じていかなければならないと考えています。高齢になると体力が低下して病気・ケガのリスクも高まるといわれるところ,安心して長く働いてもらうためにどのような対策を講じればよいのでしょうか?
1 企業が求められる取組み
2 エイジフレンドリーガイドライン
Q28 労働者が求められる取組み
企業側がいくら安全衛生対策・健康管理対策を講じても,従業員が協力してくれなければ実効性はないと思います。エイジフレンドリーガイドラインでは労働者の側にも企業の取組みへの協力や,自分の健康を守るための努力をすることを求めているとのことですが,具体的に,労働者にはどのような取組みが求められているのですか?
1 職場の安全衛生に対する労働者の取組みの必要性
2 ガイドラインが労働者に求める取組み 
労災防止策
Q29 高齢者に関わる労災防止策 ─ 転倒災害防止対策を中心に ─ 
当社工場では,長年新規採用を絞ってきた結果,従業員が高齢化しています。スキルのあるベテランが定年後再雇用で残ってくれていますが,加齢による衰えはいかんともしがたく,いわゆるヒヤリハットに当たる事例も出てきています。特に労災防止の観点からは,高年齢者向けのマニュアルを作成して適宜改善を図ろうとしているところですが,注目に値するような取組みや視点があったら教えてください。
1 転倒災害防止対策の重要性
2 安全衛生対策におけるDXの推進の一例
3 「目の健康」に着目した対策

第4章 認知症に関する問題
  認知症の基礎知識  
□「認知症」と「加齢によるもの忘れ」の違い
□ 認知症と間違えやすい他の病気
□ 認知症の種類 
□ 認知症の初期症状 
□ 認知症の症状 
□ 困った症状に対する対処法❶ 
□ 困った症状に対する対処法❷ 
□ 自分でできる認知症の気づきチェックリスト
□ 受診をしぶる認知症症状がある社員に受診を促すコツ
施 策
Q30 認知症施策の経緯・概要
わが国の認知症に対する施策について教えてください。
1 認知症とは
2 認知症施策の経過
3 認知症基本法の概要
4 認知症施策推進基本計画の概要
5 雇用の分野に関する規定
認知症が疑われる場合
Q31 受診勧奨時の留意点 
ミスが目立つようになった定年後再雇用社員がいます。部内の定例の会議日程を忘れる,決まっている業務手順がわからなくなるなど,これまでから考えると明らかにおかしい状態です。上司が体調等について聞いてみても,自覚がないのか認めたくないのか,「たまたま疲れていてうっかりしてしまった」としか言わないとのことなのですが,皆,認知症ではないかと心配しています。いちど病院にかかってもらい,診断結果を教えてもらえればこちらも安心ですし,万一認知症なのであれば対応も検討したいと考えているのですが,スムーズに受診につなげ,また診断結果を報告してもらうためには,どのような点に留意したらよいでしょうか?
1 受診勧奨時の配慮の必要性
2 健康情報の取扱いに関する規定
3 受診の勧奨と得た情報の管理
4 受診命令の可否
Q32 勤務配慮の必要性
認知症ではないかと疑われる定年後再雇用(有期雇用)社員がいます。近日中に認知症専門医の診察を受けることが決まっており,その結果はすぐに報告してもらえることになっていますが,万一認知症と診断された場合の対応について苦慮しています。当社としても雇用している以上は安全配慮義務が生じるものと理解していますが,高齢の再雇用社員に個別に配慮するのは負担が大きいといわざるを得ません。認知症の人の安全の確保ということであれば雇止めも視野に入ってくると思いますが,そうではなく,何らかの配慮をしたうえで働き続けてもらう必要があるのでしょうか?
1 定年後再雇用労働者に対する安全配慮義務
2 配慮の内容
3 企業に求められる取組み
認知症労働者の退職
Q33 認知症の高齢者との退職の合意
当社は和菓子製造販売業で,全国に店舗展開をしています。高齢者が多く働いていますが,そのなかの1人(68歳)のもの忘れがひどくなり,店長から指示されたことを忘れてしまうなどで長い付き合いのある顧客からもたびたび苦情を受けるようになって対応に苦慮していたところ,異変に気がついて病院に連れていった家族から,認知症との診断を受けたとの報告がありました。ここ最近の状況を見るに勤務し続けるのは難しいのではないかということで,店長と本人とで話し合い,当月の末日付けの合意退職が決まりました。
その際に退職の合意の書面の取り交わしをしていなかったのがいけないのですが,退職に向けての手続を進めていたところ,現在,本人から「退職の合意なんてしたことはない,どうして辞めなければならないのか。労基署に相談に行く」と言われています。
しばらく様子を見てみたのですが,本人の状況はまったく変わらず,顧客からの苦情も今も多く受けており,このままでは店舗の信用にも関わります。雇用を継続するのは難しいといわざるを得ません。長く勤めてくれて,会社にずいぶんと貢献してくれた人なので,なんとか解雇まではせずに解決したいのですが,どうすればよいでしょうか?
1 退職の合意 
2 再度の合意の形成 
3 労働基準監督署に相談がなされたら 
Q34 認知症の高齢者の退職の時期
私は,老人ホームで老人介護の仕事をしている67歳の労働者です。近頃,もの忘れがたびたびあり,依頼されていた入居者の服薬介助を忘れたり,慣れているはずのルーチンの仕事の手順がどうだったか迷ったりするようになりました。心配になって専門医を受診,MCIと診断されました。
これでは仕事は続けられないと思い上長に相談したところ,「介護業界は慢性的な人手不足で募集しても人が集まらないし,若い職員はあなたのことを尊敬して頼りにしている。もう少し働いてもらえないだろうか」とのこと。とても嬉しく思いましたし,介護の仕事にはやりがいも感じていますからできれば働き続けたいのですが,とはいえ私が服薬の確認を忘れたために入居者の健康に支障を来すようなことになったら取返しがつかないですし,私はもちろん老人ホームの責任も問われることになると思います。そうなる前には辞めなければと,いつまでなら問題なく働き続けられるかお医者様に聞いてみても,「それは状態も含めて諸状況を見て判断すべき」と,明確には答えてもらえませんでした。
一方で老人ホーム側にも,私が退職するとなったらその後の体制をどうするかなど,いろいろな事情があると思います。迷惑はかけたくないのですが,退職の時期については,どのように決めたらよいでしょうか?
1 MCIとは 
2 MCI対策の必要性 
3 職場全体の認知症対策のレベルの向上 
  キーワード索引
  判例索引  

Column
前期高齢者・後期高齢者 
世界の基準 
高齢者の就業  
「ハローワーク」との呼び方はいつから? 
高年齢者雇用等推進者  
定年制の有効性  
労働基準法上での「定年」  
法違反の私法上の効力  
高年法の私法上の効力以外の根拠によって継続雇用が認められたもの  
雇用保険マルチジョブホルダー制度 
労働保険(雇用保険・労災保険)の加入上限  
特定被保険者制度  
「柔軟」=「社会からの圧力」
エイジフレンドリー補助金  
健康経営  
若年性認知症について

¥3,960(税込)
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