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共同研究開発契約の法律実務


著者・編者宇佐美 善哉倉賀野 伴明鳩貝 真理

発行元青林書院

発行年月日2025(令和7)年01月20日


書籍説明

企業法務の最前線に立つ弁護士が実務に照らし実践的な内容を解説!
●共同研究開発に特有の論点・注意点をわかりやすく解説
●実際の契約に応用可能な条項例(英文&和文)を提示
●実務上役立つ裁判例・相談事例を厳選して紹介・検討

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はしがき
企業における研究開発活動は,新規事業分野への進出や新製品の開発等,個々の企業の浮沈につながるだけでなく,新たな市場の開拓等産業全体にとっても重要な役割を担ってきた。研究開発活動の高度化・専門化・国際化が進む中で,今日では,複数の企業や大学等の研究機関による共同研究開発が活発に行われている。また,製・創薬や医療機器開発等の分野をはじめ,大学等の研究機関や企業内の研究部門に由来するスタートアップが増加しており,そのようなスタートアップが大企業や外国企業と共同研究開発を行う例も枚挙に暇がない。
 共同研究開発は異なる利害関係を持つ複数の当事者が研究開発活動を分担するという性質上,単独で研究開発活動を行う場合と異なり,紛争を未然に防止するため業務分担や成果の帰属等様々な事項を適切且つ明確に契約書に落とし込む必要がある。また,共同研究開発契約の締結に際しては,特有の論点や留意点がある。しかし,共同研究開発に特化して論じた書籍は思いのほか少なく,外国企業や外国研究機関,大学等との間に共同研究開発契約を締結する日本企業の法務担当者にとって,参考となる英文契約書式を見つけることは必ずしも容易でないのが実情である。
 そこで本書では,企業法務の最前線において法的課題に取り組んでいる外資系製薬会社や外資系医療機器メーカーに属する社内弁護士及び企業の外から共同研究開発契約やそれに付随する各種契約について助言する立場にある法律事務所に所属する弁護士が執筆を担当し,企業内外のそれぞれの立場から日々検討し,対処している事項を中心に,共同研究開発契約の実務に照らして実践的な内容を論じている。また,実際の契約に応用可能な条項例,とりわけ英文の条項例を主に盛り込んでいる。具体的には,第1章(Chapter 01)の「共同研究開発の概要」では,共同研究開発の目的,共同研究開発におけるパートナー選定,共同研究開発の相手方に応じた留意点,共同研究開発におけるその他の留意点(発明者の認定,契約類型論,共同著作等)について概観し,第2章(Chapter 02)の「共同研究開発契約締結までのプロセスと付随する契約」では,主に共同研究開発契約の締結まで交わされることの多い秘密保持契約,マテリアル・トランスファー(Material Transfer)契約,フィージビリティ・スタディ(Feasibility Study)契約・PoC(Proof of Concept〔技術検証〕契約),レター・オブ・インテント(Letter of Intent:LOI)・メモランダム・オブ・アンダスタンディング(Memorandum of Understanding:MOU)・タームシート等の共同研究開発契約に付随する各種契約について条項例とともに解説し,第3章(Chapter 03)の「共同研究開発契約の内容」では,共同研究開発契約の法的性質について再論した後,共同研究開発契約について条項例とともに解説し,第4章(Chapter 04)の「共同研究開発と独占禁止法上の留意点」では,主に公正取引委員会が策定した「共同研究開発に関する独占禁止法上の指針」(共同研究開発ガイドライン)や,スタートアップと大企業との事業連携にスポットを当てて公正取引委員会及び経済産業省が共同で策定した「スタートアップとの事業連携及びスタートアップへの出資に関する指針」(スタートアップ事業連携ガイドライン)に基づく留意点について解説した。また,第1章から第3章では,過去の裁判例から実務上参考になる事例をコラム形式で紹介し,第4章では,事例検討として公正取引委員会に寄せられた相談事例を題材とした仮想事例を紹介している。さらに,別添として,各章で解説した条項例を中心に各種契約の参考書式を添付した。
 なお,本書の意見にわたる部分は,執筆者各個人の意見であり,それぞれが属する企業又は法律事務所を代表するものではない。また,本書の企画・編集に多大なご協力を頂いた青林書院の高橋照明様,長島晴美様及び松本千佳様にこの場を借りて御礼を申し上げる。
 本書が,共同研究開発に携わる関係者,とりわけ企業の法務担当者にとって有益なものとなれば望外の喜びである。

2024年11月
執筆者代表          
弁護士・ニューヨーク州弁護士 
宇佐美 善哉


宇佐美 善哉:
 弁護士・ニューヨーク州弁護士
 モリソン・フォースター法律事務所
倉賀野 伴明:
 弁護士・ニューヨーク州弁護士
 日本メドトロニック株式会社 日本法務部長
鳩貝  真理:
 弁護士
 グラクソ・スミスクライン株式会社 法務 シニアリーガルマネージャー

■書籍内容

目  次
Chapter 01 共同研究開発の概要
Ⅰ 共同研究開発とその目的
Ⅱ 共同研究開発のパートナー選定
1 はじめに
2 大学・公的研究機関
3 企業間
Ⅲ 共同研究開発の相手方に応じた留意点
1 大学・公的研究機関
1 概  要  
2 大学・公的研究機関特有の問題点  
2 企業間
1 企業間の共同研究開発に伴う問題  
2 スタートアップとの共同研究開発  
3 外国企業との共同研究開発  
Ⅳ 共同研究開発のその他の留意点
1 発明者の認定
2 契約類型論
3 共同著作
  
Chapter 02
 共同研究開発契約締結までのプロセスと 付随する契約
Ⅰ 共同研究開発契約締結までのプロセス
Ⅱ 秘密保持契約
1 秘密保持契約の概要
1 秘密保持契約の必要性  
2 実務上の留意事項  
2 秘密保持契約の内容
1 目  的  
2 秘密情報の定義  
3 秘密保持義務  
4 目的外使用の禁止  
5 秘密情報からの除外  
6 義務的な開示  
7 複製の制限  
8 秘密情報の返還・破棄  
9 知的財産権  
10 有効期間  
11 救済方法  
12 表明保証  
13 準拠法及び紛争解決  
Ⅲ マテリアル・トランスファー契約
1 マテリアル・トランスファー契約とは
2 契約の内容
1 対  象  
2 使用目的等  
3 譲渡等の禁止  
4 秘密保持  
5 不保証  
6 検討結果の報告  
7 知的財産権の取扱い  
8 検討・評価結果の公表  
Ⅳ フィージビリティ・スタディ契約及びPoC 契約
1 フィージビリティ・スタディ契約及びPoC 契約とは
2 契約の内容
1 目  的  
2 フィージビリティ・スタディの内容  
3 委託者の責任  
4 フィージビリティ・スタディの実施基準  
5 知的財産権  
6 オプション(次段階への移行について)  
7 契約期間及び終了  
Ⅴ LOI,MOU 及びタームシート
 
Chapter 03 共同研究開発契約の内容
Ⅰ 共同研究開発契約の法的性質
Ⅱ 共同研究開発契約の内容
1 目  的
2 定  義
3 業務分担
4 意思決定方法
5 費用負担
6 情報の提供
7 報  告
8 第三者への業務委託
9 秘密保持
10 競業避止
11 成果・改良の帰属
1 通知・報告  
2 成果の帰属  
3 特許出願等 
4 改良の帰属  
12 成果の公表
13 成果の利用
14 期間・終了
1有効期間
2 有効期間の終了  
3 存続条項  
15 共同研究開発終了後の取扱い
16 一般条項
1 一般条項  
2 完全合意条項  
3 準拠法及び紛争解決条項  
  
Chapter 04 共同研究開発と独占禁止法上の留意点
Ⅰ 共同研究開発と独占禁止法に関するガイドライン
Ⅱ 共同研究開発ガイドライン
1 研究開発の共同化自体に関する独占禁止法上の留意点
1 基本的な考え方  
2 不当な取引制限等に関する留意点  
3 私的独占等に関する留意点  
2 共同研究開発の実施に伴う取決めに関する独占禁止法上の
  留意点
1 基本的な考え方  
2 共同研究開発の実施に関する事項  
3 共同研究開発の成果である技術に関する事項  
4 共同研究開発の成果である技術を利用した製品に関する事項  
3 欧米のガイドライン等
1 米  国  
2 欧  州  
Ⅲ 事例検討
1 研究開発の共同化
●事例1  
●事例2  
●事例3  
2 共同研究開発の実施に伴う取決め
●事例4  
●事例5  
●事例6  
Ⅳ スタートアップ事業連携ガイドライン
1 ガイドラインの概要
2 秘密保持契約(NDA)に関する留意点
1 営業秘密の開示  
2 片務的な秘密保持契約等  
3 秘密保持契約違反  
3 PoC(技術検証)契約に関する留意点
4 共同研究開発契約に関する留意点
1 知的財産権の一方的帰属・名ばかり共同研究  
2 成果物利用の制限  
5 ライセンス契約に関する留意点
1 ライセンスの無償提供  
2 特許出願の制限  
3 販売先の制限  
6 その他の留意点
1 報酬の減額・支払遅延  
2 損害賠償責任の一方的負担  
3 最恵待遇条件  
  
〚契約書式〛
秘密保持契約
マテリアル・トランスファー契約
フィージビリティ・スタディ契約
レター・オブ・インテント
共同研究開発契約

〚参考資料〛
共同研究開発ガイドライン
  
キーワード索引
判例索引

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