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類型別 慰謝料算定の実務Ⅱ


著者・編者平田 厚

発行元青林書院

発行年月日2024(令和6)年06月20日


書籍説明

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損害賠償請求訴訟において、【非財産的損害の賠償、特に精神的損害である慰謝料を認めてもらえるのか?】【認めてもらえるとしてどの程度の金額を認めてもらえるのか?】ーー弁護士等の法律実務家にとっての実務上の大きな悩みに寄り添う1冊!

※関連書籍:類型別 慰謝料算定の実務Ⅰ【デジタル書籍】


●2008年から2022年までの実に15年間の判例・裁判例を分析!
●事件類型別に、慰謝料に関する裁判例等の認定・算定の判断基準(慰謝料額の決定に考慮される要素,算定の傾向等)を分析・検討!!
●裁判例等における類型別の慰謝料がどのような金銭分布を示しているのかを探り、法律実務家が、本書掲載の裁判例等と「具体的な事案」とを照らし合わせて、慰謝料の近似値を検討できるように工夫!
●法律実務家や研究者,企業の法務担当者必携!

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はしがき
 本書は,2008年1月1日から2022年12月31日までの15年間の裁判例を中心に取り上げ,近年における事件類型別の慰謝料に関する裁判例の傾向を明らかにしようとしたものである。
 損害賠償請求訴訟において,財産的損害の賠償だけでなく,非財産的損害の賠償,特に精神的損害である慰謝料を認めてもらえるのか,認めてもらえるとしてもどの程度の金額を認めてもらえるのかについては,実務上,いつも非常に悩むところである。慰謝料の算定に関しては,各裁判官の裁量に委ねられているのではあるが,同種類型の事案において,裁判官によって慰謝料の判断に差異が生ずるのは好ましいことではないと思われる。
 類型別慰謝料については,それぞれの基準額というべき金額を明らかにし,基準額に対する金額の増減要素を示すことができればよいのであるが,現実の裁判例は必ずしもそのような基準額を明らかにしてはいないし,認定額の幅は常に変動している。したがって,現実の裁判例における類型別慰謝料がどのような金額分布を示しているのかを探り,裁判例として掲げた事案と照らし合わせて,具体的な事案との近似値を検討できるような記述にしたつもりである。
 本書で利用させていただいた判例データベースは,TKCローライブラリーのLEX/DBインターネットと第一法規D1-Law.comの判例体系である。これらのデータベース作成者に感謝する。データベースを使用するに当たっては,データベースごとにアップされている裁判例が異なっており,また,キーワード検索の方法によってヒットする裁判例は異なってくる。しかも,事件類型によっては,関連裁判例数があまりに多く,すべての裁判例を読み込むことは不可能に近い。したがって,本書で取り上げている裁判例は,網羅的なものではないが,ランダムに複数のキーワード検索を行っているため,近年における一定の傾向は示せているのではないかと考えている。
 ただし,上記2つのデータベースだけで検索すると,東京地方裁判所における裁判例が多くなってしまうため,東京中心主義との批判を免れないかもしれない。そこで,本書で具体的な裁判例を取り上げるに当たっては,各事件類型における特徴的な裁判例に関しては,どの裁判所における判断なのか無視して取り上げることとしたが,それ以外の近年の傾向を示している裁判例に関しては,東京地方裁判所の裁判例でないものを優先して取り上げている部分もあるので,その点はご了承いただきたい。
 本書で取り上げている事件類型については,従来から示されてきた事件類型に基本的には準拠しているのであるが,従来はあまり取り上げられてこなかった事件類型における慰謝料に関する裁判例の傾向もできるだけ明らかにしたいと考えて本書の章立てを行っている。したがって,全体的に見慣れない事件類型もあると思われるが,このような事件類型の設定で十分であったかどうかについては,ご批判いただいて,改めて事件類型を検討してみたい。
 そのように設定した事件類型については,あまりに広範囲に及んでいるため,筆者が一人で執筆することには当初躊躇したところである。しかし,事件類型ごとに視点がぶれないようにするためには,筆者が一人で執筆に挑んでみることにも意義があるだろう。そのように考えて執筆を開始したのであるが,個々の裁判例を調べていくと,筆者がこの三十数年の間にさまざまな形で事件処理したり,法律相談に応じて調査したり,著書や論文などを執筆したりした分野も相当多く,全く未知の領域にわたるものはほとんどなかったことがかえって意外であった。
 そのような意味で,筆者を信頼して,事件や相談を依頼してくれたクライアント,著書や論文の執筆を依頼してくれた出版各社の方々のおかげにほかならない。改めて感謝するとともに,筆者が一人で執筆したからこそ,見落としや勘違いもあるだろうと思われる。それらに関しても,ご批判いただければ幸いである。
 本書が出来上がるにあたっては,『介護事故の法律相談』(2019年),『子の親権・監護・面会交流の法律相談』(2019年),『婚姻費用・養育費・財産分与の法律相談』2020年),『終活と相続・財産管理の法律相談』(2022年)に引き続いて,株式会社青林書院編集部の長島晴美氏のお世話になった。昨年の執筆途中で筆者が体調を崩してしまい,原稿にかなり多くのミスを遺してしまったため,長島氏には本書の不十分な点を細かくチェック・修正していただいた。感謝申し上げる。

2024年4月
平 田  厚


著者紹介
平田 厚(ひらた あつし):明治大学専門職大学院法務研究科教授・弁護士

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■書籍内容

第3章 取引に関わる慰謝料
Ⅰ 不動産取引に関わる慰謝料
1 取引行為による慰謝料請求の可否/2 不動産取引に関わる慰謝料請求/3 不動産売買による慰謝料請求/4 不動産賃貸借による慰謝料請求/5 不動産取引に関わる慰謝料請求の裁判例●判例・裁判例
【3-1】〜【3-19】●
Ⅱ 金融取引の慰謝料
1 金融取引の種類/2 銀行取引/3 証券取引/4 商品先物取引/5 外国為替証拠金取引/6 保険契約/7 消費者金融/8 金融取引の裁判例●判例・裁判例【3-20】〜【3-35】●
Ⅲ 特定商取引の慰謝料
1 特定商取引に関する法律/2 特定商取引に関する慰謝料/3特定商取引法違反の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【3-36】〜【3-38】●
Ⅳ 消費者契約の慰謝料
1 消費者契約法/2 消費者契約に関する慰謝料/3 消費者契約法違反の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【3-39】〜【3-42】●
Ⅴ 請負契約の慰謝料
1 請負契約の性質/2 建築請負契約の特徴/3 建築請負契約の慰謝料/4 建築請負契約の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【3-43】〜【3-50】●
Ⅵ 医療事故の慰謝料
1 医療事故の特質/2 医師が従うべき医療水準/3 医療事故における因果関係の立証/4 インフォームド・コンセントの法理/5 医療事故の慰謝料/6 医療事故の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【3-51】〜【3-63】●
Ⅶ 介護事故の慰謝料
1 社会福祉基礎構造改革と介護事故/2 介護保険法のサービス体系/3 介護事故の法的責任原因/4 介護事故の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【3-64】〜【3-86】●
Ⅷ 学校事故の慰謝料
1 学校事故の類型/2 学校の責任/3 教師の責任/4学生同士のトラブルによる責任/5 日本スポーツ振興センター法による災害共済給付制度 /6 学校事故の慰謝料/7 学校事故の慰謝料
の裁判例●判例・裁判例【3-87】〜【3-96】●
Ⅸ 製造物責任の慰謝料
1 製造物責任/2 製造物責任法/3 製造物責任の慰謝料/4 製造物責任の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【3-97】〜【3-104】●
Ⅹ 労働事件の慰謝料
1 労働事件における慰謝料発生原因の分類/2 内定取消しと慰謝料の裁判例●判例・裁判例【3-105】【3-106】●/3 労働条件の違反と慰謝料の裁判例●判例・裁判例【3-107】〜【3-110】●/4 懲戒処分と慰謝料の裁判例●判例・裁判例【3-111】〜【3-114】●/5 配転等の人事関係と慰謝料の裁判例●判例・裁判例【3-115】〜【3-118】●
/6 労働契約終了と慰謝料の裁判例●判例・裁判例【3-119】〜【3-123】●/7 労働災害と慰謝料の裁判例/8 不当労働行為と慰謝料の裁判例●判例・裁判例【3-124】【3-125】●
Ⅺ 公益通報者保護法違反の慰謝料
1 公益通報者保護/2 公益通報者保護法/3 公益通報者保護法違反の裁判例/4 公益通報者保護法違反の慰謝料に関する裁判例●判例・裁判例【3-126】〜【3-128】●

第4章 司法等に関わる慰謝料
Ⅰ 犯罪被害(人身損害)の慰謝料
1 犯罪被害と慰謝料の関係/2 殺人罪の慰謝料/3 殺人罪の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【4-1】〜【4-10】●/4 傷害致死罪の慰謝料/5 傷害致死罪の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【4-11】〜【4-15】●/6 傷害罪・暴行罪の慰謝料/7 傷害罪・暴行罪の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【4-16】〜【4-25】●
Ⅱ 犯罪被害(性犯罪)の慰謝料
1 性犯罪と刑法改正/2 強姦・強制性交等の慰謝料/3 強姦・強制性交等の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【4-26】〜【4-32】●/4 強制わいせつ等の慰謝料/5 強制わいせつ等の慰謝料の裁判例/6 強制わいせつ等の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【4-33】〜【4-40】●/7 迷惑防止条例違反の慰謝料の裁判例
●判例・裁判例【4-41】●/8 青少年健全育成条例違反の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【4-42】●
Ⅲ 犯罪被害(詐欺)の慰謝料
1 詐欺あるいは詐欺的商法/2 原野商法の慰謝料の裁判例/3 霊感商法の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【4-43】〜【4-45】●/4デート商法の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【4-46】●/5 ワンクリック詐欺の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【4-47】【4-48】●/6 振り込め詐欺の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【4-49】【4-50】●
Ⅳ 犯罪被害(器物損壊・物損)の慰謝料
1 器物損壊の慰謝料/2 器物損壊の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【4-51】〜【4-53】●/3 物損の慰謝料/4 物損の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【4-54】●
Ⅴ 違法捜査による慰謝料
1 違法捜査による慰謝料/2 違法捜査による慰謝料の裁判例●判例・裁判例【4-55】〜【4-64】●
Ⅵ 接見交通権侵害の慰謝料
1 接見交通権の意義/2 接見交通権侵害の慰謝料/3 接見交通権侵害の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【4-65】〜【4-73】●
Ⅶ 違法な保全処分の慰謝料
1 民事事件と慰謝料/2 違法な保全処分の慰謝料(2008〔平成20〕年1月1日以前)/3 違法な保全処分の慰謝料(2008〔平成20〕年1月1日以降)/4 違法な保全処分の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【4-74】【4-75】●
Ⅷ 違法な自力救済の慰謝料
1 自力救済禁止の原則/2 違法な自力救済の慰謝料/3 違法な自力救済の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【4-76】〜【4-84】●
Ⅸ 不当訴訟の慰謝料
1 訴訟行為と不法行為/2 不当訴訟の慰謝料/3 不当訴訟の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【4-85】〜【4-93】●
Ⅹ 違法な弁護士懲戒請求の慰謝料
1 弁護士懲戒請求の概要/2 違法な弁護士懲戒請求の慰謝料/3 違法な弁護士懲戒請求の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【4-94】〜【4-98】●
Ⅺ 専門家責任の慰謝料
1 専門家責任とは/2 弁護士の責任の慰謝料●判例・裁判例【4-99】〜【4-106】●/3 税理士の責任の慰謝料●判例・裁判例【4-107】●/4 司法書士の責任の慰謝料●判例・裁判例【4-108】●/5 建築士の責任の慰謝料●判例・裁判例【4-109】〜【4-112】

事項索引
判例索引

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