
リフォーム工事の法律相談〔改訂版〕
書籍説明
※こちらの書籍は PDF 形式でのご提供となります。
※本書籍は『Legalscape』を有料契約中のお客様の場合、購入せず閲覧可能な書籍です。
■解説
民法,特定商取引法など重要法令の改正と最新判例に対応!
◆住宅建築・リフォーム工事の法務に精通する弁護士が解説!
◆注文者と事業者に向けた契約・施工上の紛争事例と解決策!
改訂版 序
国土交通省は経済産業省及び環境省とともに,令和4年度政策として住宅の
省エネリフォーム等を支援する新たな補助制度をそれぞれ創設し,省エネリフ
ォーム工事を行う場合には,子育て対応改修やバリアフリー改修等に対する支
援も行うこととしました。また,長期優良住宅化リフォーム推進事業を展開す
るべく募集を行い,政策的にも良好なリフォームの促進を図っています。
住宅のストックが世帯数を大幅に上回る日本では,リフォームの需要が増加
傾向にあります。また多発する自然災害によって住宅の修理や点検の需要が高
くなることが予想されます。
一方で,訪問販売等による悪質な住宅リフォームに関する消費者トラブルは
未だ衰えることなく,電話相談におけるリフォームトラブルに関する相談の
うち,訪問販売に関する相談の件数が8~10%で推移していること,特に「契
約」に関するトラブルはリフォームの相談全体の約3分の2を占めるものにな
っていると公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターから報告され
ています。
リフォーム工事のトラブルは以前から数多く報告され,その対応についての
警鐘がありましたが,未だトラブルが沈静化しない背景には無許可事業者の市
場参入が可能であり,行政当局からの十分な監督ができないこともあります。
リフォーム工事関係者ならびに専門家が正しい知識を身につけることが必須で
す。
今改訂では,特定商取引法の改正などリフォーム工事関連の法的環境にも少
しずつ変化が生じる中で,平成27年6月に第1版を執筆したメンバーで改めて
原稿の見直しを行い,新たな判例ならびに新たな法令の加筆及びそれに伴う訂
正を行いました。
住宅問題の第一線で取り組んでいる弁護士による本書が,関係者の理解を深
め,紛争の予防に貢献できることを心より願っております。
令和4年12月
弁護士 犬塚 浩
編著者
犬塚 浩:弁護士 京橋法律事務所
執筆者
髙岡 信男:弁護士 髙岡綜合法律事務所
岩島 秀樹:弁護士・一級建築士 大地法律事務所
竹下 慎一:弁護士 竹下法律事務所
宮田 義晃:弁護士 京橋法律事務所
■書籍内容
序 章
Q 1 ■リフォームとは
リフォーム工事とはどのような工事を意味しますか。また,リフォーム工事におい
て生じる問題として,主にどのようなものがありますか。
Q 2 ■リフォーム相談の特徴
最近のリフォームに関する法律相談の特徴は,どのようになっていますか。
Q 3 ■リフォームトラブルの調査・相談
リフォーム工事を頼もうと思うのですが,思ったとおりに完成するのか,料金は高
くならないか,少し不安があります。リフォーム工事を頼む前に調査したり,何らか
のトラブルが起きてしまった場合に解決手段を調査したりするには,どのような手段
がありますか。また,リフォームトラブルについて,相談できる機関も知りたいです。
第 1章 勧 誘
Q 4 ■訪問販売における禁止行為
自宅において太陽光発電装置の勧誘を受けました。最大発電量が毎日9時間得られ
る試算をされ,その電気を電力会社に売電すればその収入で購入代金のクレジット料
金の支払は可能だと説明を受けました。しかし,私の自宅のある地域では梅雨や冬を
考えると毎日9時間の発電ということは非現実的です。このような勧誘は許されるも
のでしょうか。
Q 5 ■判断力不足に乗じた販売の禁止
弟(48歳)は知的障害があり,他人の誘いに応じてしまいます。健康体ですので実
家において1人で生活しているため心配していたのですが,先日,弟宅を訪れました
ら,床下工事中の状態でした。弟と話をしましたら,契約時期を違えた床下改良工事
の契約書が3種類出てきました。3つとも同じ業者で工事金額が150万円,250万円,
300万円のものでした。弟は両親の遺産相続によって預金があったのですが,通帳か
らその代金と同じだけ出金されていました。どうすればよいでしょうか。
Q 6 ■セールスマンの氏名表示義務及び退去義務
高齢の両親が2人だけで実家に住んでいます。最近しつこいセールスマンが多く,
来客なのかセールスなのかもはっきりとしないと両親が嘆いていました。先日も来客
者と思って玄関を開けたところ,リフォーム工事業者で,言葉巧みに話を続け,なか
なか帰らなかったそうです。
このようなセールスに対してはどのような規制があるのでしょうか。
Q 7 ■補修工事の効果の約束
私は自分が住んでいるマンションの管理組合の理事長をしています。
マンションの外壁洗浄・塗装・シール・クリーニング工事を業者に発注したのです
が,「工事を行えば雨漏りが止まる」と業者は約束していたにもかかわらず漏水が止
まりません。
その上,下地処理を十分にせずに塗装を行ったことからベランダ天井部ペンキが剥
離する状況が生まれました。そればかりか,工事によって一部の設備が破損するとい
う状態も生まれました。
業者に対して損害賠償請求はできるでしょうか。
Q 8 ■リフォーム契約書等への記載事項
この度,訪問販売業者との間でリフォーム工事契約を結ぶことになりましたが,工
事業者から見せられた契約書は工事代金と簡単な内訳を記載しているだけであって工
期の記載もなく,工事内容もはっきりと分かりません。
訪問販売についてはクーリング・オフという制度があることを聞いていましたが,
それに関する記述もありません。
本来契約書に記載すべき内容はどのようなものでしょうか。
また,リフォーム契約に関する標準的な契約書はないのでしょうか。
Q 9 ■リフォームにおけるメンテナンスサービスに関する景品表示法上の規制
当社では,今回,お客様ご愛顧感謝キャンペーンを実施したいと考えています。キ
ャンペーン期間中は,全てのお客様に3か月後,半年後,1年後の3回の定期点検を
サービスで行うことを検討しているのですが,景品表示法上の規制はあるのでしょう
か。
Q 10 ■リフォーム広告における注意点❶―優良誤認表示
当社では当社では,今回,値下げのキャンペーンを実施することになり,インター
ネット上で広告をすることになりました。
当社は地域で1番のリフォーム業者と自負しており,何とかこれをアピールしたい
と思うのですが,どのような点に注意すればよいでしょうか。
Q 11 ■リフォーム広告における注意点❷―有利誤認表示
当社では,今回,値下げのキャンペーンを実施することになり,新聞折り込みチラ
シによる広告をすることになりました。どのような点に注意すればよいでしょうか。
Q 12 ■景品類の提供
当社では,今回,キャンペーンを実施することになり,リフォームをご依頼をいた
だいたお客様の中から抽選で旅行券(10万円相当)をプレゼントしようと考え,その
旨の告知をする予定ですが,どのような点に注意すればよいでしょうか。
Q 13 ■耐震診断・耐震改修
亡父から相続した築40年以上の木造2階建て住宅に居住していますが,先日リフォ
ーム業者が来訪し,「古い建物は耐震診断をして,問題があれば耐震改修しなければ
ならないという法律ができたので,早目に耐震診断することをお勧めします」と言わ
れました。近所で,耐震診断や耐震改修をしたという話を聞いたことはありません
が,そのような法律ができたのでしょうか。また,耐震診断や耐震改修を行わなけれ
ばならない場合は,どのような方法で進めればよいのでしょうか。
第 2章 契 約 時
Q 14 ■クーリング・オフ制度
太陽光発電システムの訪問販売を受けました。家庭用電力の自由化やクリーンエネ
ルギーに関心があったので,設置契約を結んでしまいました。事業者の話では国や
県・自治体の補助金制度があるとのことでパンフレットを見せられ,補助を受けられ
るのであれば負担も少なくなると考えて契約したのですが,実際には国や県の補助金
制度は終了していました。契約後3日目には機器が運びこまれています。契約を解消
したいのですが可能でしょうか。
Q 15 ■クーリング・オフの効果❶―消費者の負担解消
一戸建て住宅に住んでいます。築5年ほど経っています。近くを通りかかったとい
う業者の訪問を受け,壁の塗装が劣化してこのままでは雨漏りや壁本体の痛みがひど
くなるといわれて,建物全体の壁の再塗装工事を108万円で契約しました。私の家を
含めて近隣4戸の家が同時期に建築された住宅なのですが,他の家は再塗装の気配は
ありません。それで後悔してクーリング・オフをしたいのですが,契約書には,工事
着手前に当方の都合で解約した場合は違約金として代金の10%を支払うこととされて
います。また,業者は塗装工事のために足場を設置してしまいました。幸い代金はま
だ払っていません。この段階でクーリング・オフは可能でしょうか。
Q 16 ■クーリング・オフの効果❷―クーリング・オフの期限
80歳を超えた両親が住む実家に行きましたら,屋根の葺き替えが済んでいました
し,床下改修工事が終わっていました。3年前に私の負担でリフォーム工事をしたば
かりで,その時の業者は屋根や床下はあと10年は大丈夫と言っていました。父に事情
を聞いたところ,親切な業者が訪問してきて,通常であれば1000万円以上の代金にな
るが20周年記念で大幅値引きして600万円でやってくれるというので工事を依頼した
とのことでした。契約書が父の手元に存在し,工事内容の箇所を見ましたら,リフォ
ーム工事一式と記載されていました。私は納得がいかないので,父にクーリング・オ
フさせて600万円を取り戻そうと思いますが問題がありますか。
Q 17 ■訪問販売の請求――クーリング・オフの適用除外
中古マンションを買ってリニューアル工事を行った友人は,インターネットで業者
を見つけ出して電話をして情報を集めようとしたところ,担当者が「ご自宅を訪問し
てお話したい」と切り出し,それを了承して自宅で説明を受けて契約しました。
しかし,工事内容と代金との関連も不明確で,他の業者と代金を比較したところ割
高なので,契約してから3日しか経過していないことからクーリング・オフの権利行
使をしようとしたところ,業者から「今回はあなたが望んで自宅を訪問したのでクー
リング・オフの権利行使はできない」と言われました。本当でしょうか。
Q 18 ■過量販売についての撤回・解除権
実家に75歳の母親が1人で生活しています。先日久しぶりに実家に顔を出しました
ら,家の外壁がリフォームされていました。結構な代金を支払っていると思い,こっ
そり母の通帳をみましたら,500万円の引出しがあり,さらに300万円,400万円の引
出しが半年間に続けざまにあり,残金がほとんどない状態でした。母に聞いたとこ
ろ,屋根の改修,外壁の改修が必要だといわれて工事をしてもらった,その代金とし
て支払ったとのことでした。母は1人で工務店に入るような人ではなく,折り込み広
告のリフォーム会社に連絡して,風呂・トイレ・台所のバリアフリー・リフォーム工
事をしてもらったのが始まりとのことでした。母は業者につけこまれたのではないで
しょうか。
Q 19 ■不実の告知等による取消権
訪問業者に,床下換気用の通風口が少ないが大丈夫ですかといわれて,家廻りや床
下を見てもらったところ,床下換気扇を10台設置しないといけないといわれ床下換気
扇の機能の説明を受けました。そして,推薦された床下換気扇10台を購入する契約を
しました。ところが,知人の建築士に自宅を見てもらったところ,3台もあれば十分
といわれました。契約を解消したいのですが可能でしょうか。
Q 20 ■一括下請負の禁止
当社は,施主から500万円で内装リフォーム工事を請け負いましたが,私の弟が経
営しているA社からこの工事をやらせてほしいといわれたため,当社は建築資材だけ
支給し,施工はA社に下請負させました。しかし,施主から工事の丸投げではないか
という苦情がありましたので,現場には当社の技術者を置き,また清掃業務は当社で
行うようにしました。ところが,施主から,それでも工事の丸投げであり,契約に違
反するので請負契約を解除するといわれています。工事請負契約書の契約約款には,
「あらかじめ注文者の書面による承諾を得た場合を除き,請負者は請負人の責任にお
いて工事の全部又は大部分を,一括して請負人の指定する者に委任又は請け負わせる
ことができない」と規定されていますが,この契約条項に違反するでしょうか。
Q 21 ■リフォームと暴力団排除条例
暴力団と関係があると噂される会社から,事務所が入っていると噂されるマンショ
ン一室の改修工事を請けてほしいと連絡がありました。各都道府県には暴力団排除条
例(暴排条例)があり,暴力団員からリフォームの注文を受けるに当たっては注意す
る必要があると聞きました。暴排条例によって暴力団に対する利益供与は禁止されて
いるとのことですが,当社に利益の出る適正な請負代金をきちんといただければ利益
供与にならないようにも思います。このような場合でも利益供与になるというのであ
れば,当社のような小さな会社は,事前にどのような用意をしておけばよいでしょう
か。
Q 22 ■リフォーム工事の請負業者が暴力団関係者の場合
築40年になる木造2階建ての自宅をリフォームしようとして見積りを複数取って
いたものの請負代金額がどうしても1500万円ほどの高額なものになり,困っていまし
た。そのようなときに,知人からリフォーム業者を紹介され,すぐに契約するのであ
れば,それまでに見積りを取っていた業者見積額の7割ほどの1000万円で同じリフォ
ーム工事を頼めるというので,融資を受けられるか銀行に相談しないまま,リフォー
ム工事の請負契約を締結しました。ところが,契約締結後に融資を求めたところ,銀
行から,リフォーム業者が暴力団関係企業であるから融資できないといわれました。
しかし,その銀行からは,今回リフォームを頼んだ業者が暴力団関係企業である資料
の提供はもちろん,情報提供も一切してもらえません。このままではリフォーム工事
代金を払えず,契約違反となってしまいます。どうすればよいでしょうか。
第 3章 工 事 中
Q 23 ■倒産とリフォーム契約
当社は,ある大きな会社が元請となる大規模修繕工事の下請として外壁工事や排水
管工事を多く施工しています。ところが,その元請会社からの支払が遅れており,倒
産するという噂を耳にしました。元請会社が倒産した場合,当社は請負代金を払って
もらえるのでしょうか。外壁工事の打診をされているだけの現場から,請け負った工
事の全てを完成させたのに支払が遅れている現場までいろいろな場合があるので全般
的に教えてください。
Q 24 ■リフォーム業者倒産時の注文者の対応策
カーポートの設置と外壁塗装の2つの契約をしたリフォーム業者が,カーポートの
設置は終えたものの,外壁工事のための足場を組んだ段階で工事に来なくなり,ま
た,連絡も取れなくなりました。インターネットで調べると,そのリフォーム業者が
倒産しているようですが,破産などの手続をとった様子はありません。カーポートの
代金は全て支払済みですが,最近傾いてきて危険な感じがします。外壁工事について
は前払いした請負代金の一部の返還や,リフォーム工事の完成を求められないもので
しょうか。また,リフォーム業者が残していった足場はどうなるのでしょうか。
今後,破産や民事再生等の手続がとられた場合についても教えてください。
Q 25 ■リフォーム工事と防犯措置
当社で施工を担当していた外壁等のリフォーム工事の現場で,組まれていた足場を
使った空き巣被害が起きてしまいました。当社は施主に対して盗難被害の賠償をしな
ければならないのでしょうか。
Q 26 ■リフォーム工事が与えた健康被害
親子でマンションを共有しています。この度工事業者に対して,建物の2室の戸
境のALC 板製中央間仕切壁を撤去し,南側にあった屋外バルコニーを屋内に取り込
み,これらを居間とし,北側にあった水回りの一部を新たに寝室とし,全体を1DK
の間取りに変更するとともに,浴室,トイレ等の水回りを刷新した本件居室に,屋上
にプレハブを増築して本件居室と階段で接続させる工事を注文して実施しました。
なお床工事については,居間部分には既存の床の上にフローリングを敷き,それ以
外の部分については,スラブ面の上に床を立ち上げて設置する工事でした。
ところが入居後,父親が急性気管支炎との診断を受けました。
原因は,本件工事においては清掃及び養生が十分にされていなかったため,コンク
リートの粉塵が居室の床のフローリング下からフローリングの隙間を通じて本件居室
内に蔓延したことだと思います。
業者に対して責任を追及する場合のポイントを教えてください。
第 4章 引渡し時
Q 27 ■追加工事費用の支払義務
新築後10年経過したことから,クロスの張替えをしようと考え,リビングのクロス
の張替えを工事業者に注文しました。ところが工事を始めたところ,クロスの下地部
分に傷みがあることから補強しなければならないとの説明があり,了解しました。
補強費用を尋ねたのですが,「全体をはがしてみないとわからない」と説明されまし
た。
工事完了後の明細では当初のクロス張替え費用とほぼ同額の費用が計上され,工事
費用全体が当初見積りの2倍になっていました。工事業者は,「了解をもらった上で
補強工事をしました」と言って譲りません。工事代金を支払わなければならないので
しょうか。
Q 28 ■遅延損害金の約定
台所全体の設備も含めたリフォームをするため,業者を選び,見積り等を出しても
らい,契約することにしました。契約条項の中には「中途解約をした場合には代金の
半分を支払う」「請負代金の支払に遅れた場合には年20%の割合の遅延損害金を支払
う」「出来高が50%を超えた場合には解約することはできない」との条項があり,不
安です。大丈夫でしょうか。
Q 29 ■リフォーム施工例等の公開における注意点
当社では,今般,リフォーム施工例をウェブサイトで公開したいと考えています。
具体的には,施工前後の写真をそれぞれ掲載して施工例を説明する予定です。名前は
匿名にしますが,できれば地域などを特定して紹介したいのですが,お客様に個別に
承諾をとる必要があるのでしょうか。
第 5章 共同住宅関係
Q 30 ■マンションリフォーム関連法令全般
リフォーム業者ですが,最近部屋の模様替えや一戸建ての外壁塗装工事以外に,マ
ンションの修繕を頼まれることが増えてきました。マンションについては,どのよう
な法律がどのような規制をしているのでしょうか。マンションの修繕に関連する可能
性のある法令全般について教えてください。
Q 31 ■マンションリフォームをする場合の区分所有法上の注意点
マンションの区分所有者からリフォーム工事を請ける際,マンションリフォームの
できる限度はどうなっていますか。ベランダはリフォームできないことは知っていま
すが,お客様によっては理解してもらいにくい場合があります。また,そのほかにも
マンションリフォームにおいて注意すべき点があれば教えてください。
Q 32 ■違法なリフォーム工事に対する管理組合側の対応
以前,マンション6階の住人が,同じマンションに住む子供たちのために料理を教
えるとのことで,大きめのキッチンシステムと調理台を備え付けるリフォームを行い
ました。そのときは管理組合に事前の相談があり,リフォームの内容を確認できまし
た。ところが,いつの間にか,大きなシステムキッチンを2台入れ,ディスポーザー
を付け,ベランダの外側や玄関ドアには料理教室の看板を設置するに至りました。ま
た,料理を教えていた以前の住人は代わっており,新たな住人は,以前認めたのだか
ら今回のリフォーム工事も事後的に承諾するよう求めています。しかし,マンション
に住んでいない子供たちも通ってくるようになっており,他の住人から苦情も出てい
ます。何か対応策はないでしょうか。
Q 33 ■リフォーム工事と大規模修繕工事
マンションのリフォームという意味では大規模修繕工事においても事実上のリフォ
ーム工事が行われますが,大規模修繕工事とはどのようなもので,また大規模修繕工
事特有の問題はどのようなものでしょうか。
なお,平成25年11月に「建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する
法律」(改正耐震改修促進法)が施行されたそうですが,リフォームとの関係で影響を
与える点はどのようなものでしょうか。
Q 34 ■大規模修繕工事を行う上での手続
このたび私の住んでいるマンションが大規模修繕工事の時期を迎えました。
理事である私は修繕委員会のメンバーにも選ばれ,今後マンション管理組合内の手
続を進めていくことになります。
ところで,大規模修繕工事の内容は多方面にわたりますが,それぞれ区分所有者集
会における決議要件が異なると聞きました。
大規模修繕工事を行うために必要な決議についてその概要を教えてください。
第 6章 事業者関係
Q 35 ■特定商取引法・消費者契約法による差止請求
突然訪問してきた業者が,自宅の屋根が傷んでいるというので,自宅にあげて説明
を聞き出したら,専ら太陽光パネルの売り込みの説明で「工事の契約をするまでは帰
らない。説明させておいて契約しないというのはおかしいのではないか」と言って2
時間居すわられました。そのときは110番に電話したところ帰ったのですが,名前の
知られた業者でしたので,必要もないのに契約をさせられる方が出てしまうと思いま
す。何か手続はないものでしょうか。
Q 36 ■特定商取引法違反の場合❶―行政処分・罰則
リフォームに関する訪問販売が特定商取引法に違反した場合,リフォーム業者には
どのようなペナルティーがあるでしょうか。
Q 37 ■特定商取引法違反の場合❷―行政処分
当社は屋根,外壁等のリフォーム業を営んでいますが,当社がリフォーム工事の契
約を締結したA氏より,①当社の従業員が突然自宅に来て,「屋根瓦が割れていて雨
漏りするおそれがあるので,屋根を葺き替えた方がよい」と言われた,②いったん断
ったのにしつこく勧誘されたので契約をしたが,瓦は割れていなかった,③国民生活
センターに相談したら,契約書にクーリング・オフが赤字で記載されておらず,書類
の不備もあるといわれた,④このようなことでは信用することができないので契約を
解除する,⑤したがって,支払った60万円を返してほしい,⑥返してもらえない場合
は県に行政処分の申立てをする,などといわれました。契約書は,一般的な契約書式
をコピーして使用したためクーリング・オフ条項が黒字になっていました。この点は
当社に落ち度があると思いますが,弊社の従業員は,屋根瓦が割れていたことは間違
いないし,しつこい勧誘もしていないといっています。このような場合,当社は,ど
のように対応したらよいでしょうか。
また,A氏が行政処分の申立てをしたときは,当社は行政処分を受けるでしょう
か。行政処分を受ける場合には,どのような処分内容になるでしょうか。
Q 38 ■特定商取引法違反の場合❸―刑罰
リフォーム業者が訪問販売で不実のことを告げて工事請負契約を締結した場合,ど
のような刑罰を受けるでしょうか。また,実際にどの程度の刑罰が科されているでし
ょうか,具体的事例を教えてください。
Q 39 ■建設業の許可の要否
当社は内装工事業を営む会社ですが,建設業の許可は受けていません。ある元請会
社から,事務所ビルの内装リフォーム工事(以下「本工事」といいます)を1200万円
で発注したいとの依頼がありました。工事内容は,内装の解体工事から仕上工事まで
の一式工事です。元請会社からは,建設業の許可がなくても,請負代金1500万円未満
の建築一式工事であれば請け負うことができるといわれましたが,本工事を請け負っ
てもかまわないでしょうか。もし,請け負うことができない場合に,本工事を3つに
分割して,3つとも500万円未満の工事にすれば,本工事を請け負うことは可能でし
ょうか。
Q 40 ■建設業の許可の種類
当社は住宅建材の製造販売業を行っている会社であり,A県に本社が,B県に営業
所があります。B県では住宅のリフォーム工事の需要が多いため,新規にリフォーム
工事業を行いたいと考えていますが,この場合,どのような建設業の許可が必要にな
るでしょうか。
Q 41 ■建設業の許可の取得手続
当社は,リフォーム業を営んでいますが,建設業の許可はもっておりません。最
近,工事代金の大きな仕事も増えてきましたので新規に建設業の許可を取得したいと
考えています。しかし,どのようにすれば許可を取得できるのか分かりませんので,
建設業の許可取得の手続について教えてください。
Q 42 ■下請代金の未払い
事務所ビルのリフォーム工事について,発注者Aから元請業者Bが工事を請け負
い,元請業者Bは下請業者Cに下請させ,当社Dは下請業者Cから工事代金1000万円
で孫請しました。当社Dが工事を完了してから2か月経ちましたが,下請業者Cから
着工金300万円が支払われただけで,残代金700万円は支払ってもらえません。下請業
者Cからは,元請業者Bが発注者Aから工事代金をもらっていないため,元請業者B
から下請代金が支払われていないし,ほかにも支払わなければならないところが沢山
あるので,もう少し待ってほしいといわれています。
当社Dにも多数の支払先がありますので,発注者A又は元請業者Bに直接請求した
いと考えていますが,そのようなことは可能でしょうか。また,それ以外に工事代金
を支払ってもらえる方法があるでしょうか。
Q 43 ■建築確認申請の要否
私は1人で工務店をやっており,これまでは新築住宅の工事のみを請け負ってきま
した。しかし,今回は,以前に木造2階建て住宅の新築工事をしたお客様から,その
改装工事(内装リフォーム工事,屋根全部の葺き替え工事)と増築工事について相談
を受けました。その住宅を設計した建築士は既に亡くなられたということであり,私
に工事を行ってほしいといわれていますが,このような改装工事や増築工事について
も建築確認申請をする必要があるでしょうか。なお,私は建築士の資格は有していま
せん。
Q 44 ■既存不適格建築物のリフォーム工事
自宅にピアノ室を増築しようとして建築士に相談しましたが,既存建物が現行の建
築基準法令に適合しておらず,不適合な部分を改修工事しなければ増築することがで
きないといわれました。自宅を新築した時には建築確認を取得して検査済証の交付も
受け,適法な建築物であるといわれていたのですが,現在の法律に適合していないか
ら改修工事をしなければならないというのは,納得することができません。
何とか改修工事をせずに増築したいと思っていますが,何かよい方法はないでしょ
うか。
Q 45 ■アスベスト対策
古いアパートの改装工事を依頼されましたが,現地を確認したところ天井裏等にア
スベストが使用されているような気がします。アスベスト問題についてはニュース等
で見聞きしたことがありますが,実際にアスベストを取り扱ったことはありません。
アスベストにはどのような問題があるのでしょうか。また,アスベストに関する法律
の規制や,どのような方法で工事を進めたらよいのかなどについても教えてください。
Q 46 ■リフォームにおける業務委託契約と労働者該当性
私は,現在,個人で住宅設備機器のメンテナンス業を営んでいますが,大手メーカ
ーの子会社のメンテナンス会社であるA社と業務委託契約を締結し,週に数回,A社
の指示された現場で作業をし,月末締め翌月末払いで報酬の支払を受けていました。
作業時はA社のユニフォームを着用し同社作業員としての名刺も携帯した上でマニュ
アルに従って作業を行い,作業後はA社に報告書を送付していました。
契約期間は1年で,更新を重ねてきたのですが,午前8時半から午後6時まで待機
するという1日当たりの事実上の拘束時間が長いことや事故への不安があることか
ら,年収の最低保障や労災補償保険への加入をA社に求めました。また,この度,A
社の従業員が加入している労働組合に加入し,これらの点の団体交渉を求めたいと考
えました。
ところが,A社側は,私は独立の事業者であり従業員ではないとして,労災補償保
険の対象にはならないし,交渉にも応じないと主張してきました。
このような主張は許されるのでしょうか。
Q 47 ■リフォームにおける図面と個人情報
私は個人でリフォーム業を営んでいますが,先日,近県で工務店を開業した知人か
ら,「勉強のためにあなたが大規模なリフォーム工事を施工した平面図を提供してほ
しい」と求められました。これは一から私が作成した図面ですし,提供してもよいと
思っているのですが,個人情報として問題がないか気になっています。お客様のお名
前を消せばよいでしょうか。
第 7章 知的財産関係
Q 48 ■リフォーム技術のライセンス
当社では今般,A社の有するリフォームの断熱材に関する特許について同社とライ
センス契約を結ぶ運びとなりました。ライセンスには通常実施権と専用実施権がある
ということですが,どこが違うのでしょうか。
Q 49 ■リフォーム技術の特許権侵害と先使用
当社は外壁リフォームの施工に特殊な工法を用いており,これを1つの売りとして
ウェブサイトにも掲載していたのですが,同業他社から「弊社が3年前に特許を取得
した工法であり特許権を侵害しているので即時中止せよ」との警告書が届きました。
当社では5年前から使用している工法で,他者が特許を持っているということは初耳
であり,急にこのようなことをいわれるのは納得がいきません。応じなければいけな
いのでしょうか。
Q 50 ■リフォームにおける図面の利用と著作権
業者にリフォームを依頼したところ,設計図などの図面のコピーを求められまし
た。これらの図面に手を加えてリフォーム用の図面を作成するようなのですが,当時
の設計者の了解をもらう必要はないのでしょうか。施工業者の作成した施工図,竣工
図もあるのですが,これについてはどうでしょうか。
Q 51 ■芸術的建築物のリフォームと著作者人格権
著名な建築家が設計した住宅のリフォームの依頼を受けました。外観や間取りが非
常に個性的であって実用性には疑問があり,これまで人が住んでこなかったそうなの
ですが,今回,依頼者がこの住宅に居住するということで,また,老朽化への対策,
バリアフリーの要請もあることから,計画ではかなり大規模な修繕になる予定です。
建築家の承諾を得ないまま工事をしてよいでしょうか。
巻末資料 契約関係書式(標準契約書,標準注文書・請書)
キーワード索引
判例等索引

