
国際移動の正義――リベラリズムと入国在留管理 【法哲学叢書[第Ⅱ期]4】
書籍説明
法哲学叢書[第Ⅱ期] 4
正当な入国在留管理のあり方を問う!
国境を越えた移動・移住の自由の人権性に基づく公平に開かれた国境政策、グローバルな再分配の過渡的構想としての国際協力ビザ、主権国家秩序の正統性保障としての難民保護制度、気候労働者の受け入れ義務。
国際社会が抱える難題に立ち向かう現代正義論からの挑戦の書。
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序 章 はじめに
Ⅰ 本書の問題意識
Ⅱ 本書の構成と扱わない内容
Ⅲ 本書の概念・用語
第1章 国際移動の正義と先行研究
Ⅰ 国際移動の正義
Ⅱ 先行研究の紹介と本書の目的
第1部 個人の自由・自律と国境を越えた移動・移住
第2章 国境を越えた移動・移住の自由は人権か
Ⅰ はじめに
Ⅱ 国境を越えた移動・移住の自由の保障の人権性の一般的正当化
――Carensの議論の明確化
Ⅲ 疑問・批判と応答
Ⅳ おわりに
第3章 人生の選択肢と国境を越えた移動・移住の自由の関係性
Ⅰ はじめに
Ⅱ 人生の選択肢への十全な範囲でのアクセスの自由と国境を越えた移動・移住の自由の保障
Ⅲ 選択肢の増加・多様化と個人の自律的生の充実
Ⅳ おわりに
第4章 リベラルな移民国家の入国在留管理政策
Ⅰ はじめに
Ⅱ 人権としての国境を越えた移動・移住の自由論の理論的・政策的含意を明らかにする必要性
Ⅲ 人権としての国境を越えた移動・移住の自由論と入国在留管理政策
Ⅳ おわりに
第2部 グローバルな資源分配と国境を越えた移動・移住
第5章 地球上の自然物の共有性は国境を越えた移動・移住の自由を正当化するか
Ⅰ はじめに
Ⅱ 天然資源から得られる利益の再分配
Ⅲ 共有物としての地球上の陸地
Ⅳ おわりに
第6章 国際協力ビザの可能性
Ⅰ はじめに
Ⅱ 出稼ぎ労働者による国際送金の動向
Ⅲ グローバルな再分配を目的とした移住労働者受け入れへの懐疑論とその検討
Ⅳ 国際協力ビザの現実のモデル
――ニュージーランド「認定季節雇用者プログラム」
Ⅴ おわりに
第3部 消極的移動・移住の受け入れ
第7章 なぜ難民を保護すべきか
――主権国家秩序の正統性と難民保護
Ⅰ はじめに
Ⅱ 難民保護義務の根拠としての国際的秩序の正統性論とその課題
Ⅲ 割り当て責任モデル的国際秩序観
Ⅳ 主権国家秩序における国家と個人との関係性の決定をめぐる強制の正統性
Ⅴ おわりに
第8章 国家による旅客輸送業者への制裁の正当化の条件
Ⅰ はじめに
Ⅱ 国家による旅客輸送業者への制裁
――キャサリン・サンクション
Ⅲ 国家による旅客輸送業者への制裁の正当性
Ⅳ おわりに
第9章 気候移住者の受け入れ義務
Ⅰ はじめに
Ⅱ 気候移住者の受け入れ義務の考察をめぐるアプローチの検討
Ⅲ 気候変動適応策を支援すべき根拠1
――基本的ニーズの保障
Ⅳ 気候変動適応策を支援すべき根拠2
――原因者負担原則
Ⅴ 適応策の支援としての気候移住者の受け入れ
Ⅵ 批判と応答
Ⅶ おわりに
終章 総括
Ⅰ 本書の理論的総括
Ⅱ 国際的な難民保護制度の規範的意義とその方向性
あとがき
参考文献
事項・人名索引