
離婚調停・離婚訴訟 四訂版
書籍説明
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■解説
ますます充実! 離婚紛争に関する
実務と理論を理解するための決定版!!
●家事調停事件や人事訴訟事件を担当した裁判実務家が執筆!
●離婚調停及び訴訟の主要な論点について,実務の様々な工
夫や試み,具体的な運用方法とその理論的な根拠を詳解!
●迅速適正なより良い調停と訴訟の在り方を明示!
離婚訴訟に携わる実務家必携の書!
はしがき
本書は,『LP離婚調停・離婚訴訟』の四訂版である。執筆者は,私と阿部
潤(元)判事は,家庭裁判所に人事訴訟事件が移管され,東京家庭裁判所に
人事訴訟事件専門部(家事第6部)が創設されたときの初代メンバーであり
,岡健太郎(元)判事,松谷佳樹判事及び田中智子判事は,次のメンバーで
ある。水野有子判事は,当時,東京家庭裁判所八王子支部において人事いた
。このように,本書は,家庭裁判所に人事訴訟事件が移管された当時から,
人事訴訟事件や家事調停事件を担当し,実務の在り方を検討し,関心をいだ
いてきた実務家が,実務の運用を紹介するとともに,その理論的根拠を明ら
かにし,今後の実務の在り方等についての見解を示したものである。
初版は,平成21年7月に上梓し,平成25年12月に改訂版,令和元年11月に
三訂版を経て,今回の四訂版に至っている。いずれも,法改正及び実務の変
更等に応じて,内容を大幅に改めているが,東京家庭裁判所等においては,
常に調停及び人事訴訟事件の運用について,見直しをしている。本書は,こ
うした現在の実務も紹介した。
本書は,初版上梓後,離婚の調停及び訴訟に携わる裁判官,書記官,家庭
裁判所調査官,調停委員,弁護士及び研究者等から,離婚紛争に関する実務
と理論的根拠を示すものとして評価された。執筆者全員,ありがたいことで
あると喜んでいる。しかし,われわれが望んでいるのは,当事者のために,
よりよい離婚調停及び離婚訴訟が行われることである
。本書がそれに少しでも役立つことを期待している。
最後に,岡健太郎(元)判事が亡くなり,他の執筆者もそれぞれ退官や異
動するなどした中で,本書を上梓することができたのは,ひとえに青林書院
編集部の長島晴美氏に負うものである。長島氏の熱意と尽力に厚くお礼を申
し上げる次第である。
令和5年7月
著者代表 秋 武 憲 一
編集者・執筆者紹介
編 集 者
秋 武 憲 一(あきたけ けんいち)【第1章,第2章Ⅰ~Ⅵ,第3
元仙台家庭裁判所長 章Ⅰ・Ⅱ・Ⅵ】
岡 健 太 郎(おか けんたろう)【第2章Ⅰ,第3章Ⅱ・Ⅵ】
元最高裁判所事務総局家庭局長
執 筆 者
田 中 智 子(たなか ともこ)【第2章Ⅱ・Ⅲ】
横浜家庭・地方裁判所小田原支部判事
松 谷 佳 樹(まつたに よしき)【第2章Ⅶ,第3章Ⅴ】
広島高等裁判所松江支部長判事
阿 部 潤(あべ じゅん)【第3章Ⅰ,第4章】
元東京高等裁判所判事
水 野 有 子(みずの ゆうこ)【第3章Ⅲ・Ⅳ,第4章】
東京高等裁判所判事
(執筆順,四訂版刊行時)
■書籍内容
第 1 章 離婚調停
Ⅰ 家事調停前置主義
1 .家事事件手続法の規定
2 .人事訴訟法の制定
3 .家事調停制度
(1) 家事調停制度の趣旨
(2) 家事調停と他の手続との関係
(3) 家事調停の本質, 特色及び対象
(4) ま と め
Ⅱ家事調停の実際
1 .家事調停の担当者
(1) 調停委員会
(2) 家事事件を担当する裁判官
(3) 家事調停官
(4) 家事調停委員
(5) 裁判所書記官
(6) 家庭裁判所調査官
2 .家事調停の進行(その1)
(1) 家事調停の当事者等
(2) 家事調停の管轄
(3) 家事調停の申立て
(4) 家事調停の申立手数料
3 .家事調停の進行(その2)
(1) 調停期日
(2) 調停期日における行為
(3) 事実の調査
(4) 証拠調べ
(5) 家事調停の成立又は不成立
4 .調停にふさわしい事案
Ⅲ人事訴訟法施行後の家事調停の在り方
1 .人事訴訟法施行と家事調停の関係
(1) 人事訴訟手続と家事調停手続との関係
(2) 調停前置主義との関係
2 .人事訴訟法施行後の離婚調停の運営方法
(1) 離婚調停と人事訴訟の関係
(2) 離婚調停の具体的運営方法
Ⅳ調停前置主義の果たしている機能と効果
1 .調停前置主義の意義
2 .調停前置の有無が問題となる事例
3 .調停を前置しなかった場合の効果
4 .調停結果の人事訴訟事件における反映方法
第 2 章 離婚訴訟の審理
Ⅰ総 論
1 .人事訴訟法の制定
(1) 人事訴訟の家庭裁判所への移管
(2) 家庭裁判所調査官による事実の調査
(3) 参与員の関与
(4) 人事訴訟手続の見直し
2 .人事訴訟の特徴
(1) 専属管轄
(2) 訴訟行為能力の制限の排除
(3) 弁論主義の不適用
(4) 職権探知主義
(5) 当事者尋問等の公開停止
(6) 判決効の拡張
Ⅱ管轄と当事者
1 .職分管轄34
(1) 家庭裁判所の担当する事件(職分管轄)
(2) 関連損害賠償請求事件の具体的内容
2 .土地管轄37
(1) 離婚訴訟の土地管轄
(1) 自庁処理
(3) 遅滞を避ける等のための移送
(4) ま と め
3 .当事者の訴訟能力
(1) 人事訴訟における訴訟能力
(2) 人事訴訟における訴訟代理人
(3) 人事訴訟における成年後見人の訴訟上の地位
Ⅲ事前準備と第1回口頭弁論期日
1 .訴状の記載等
(1) 離婚請求
(2) 附帯処分等の申立て
(3) 損害賠償請求
2 .書 証
3 .訴えの手数料
(1) 離婚請求
(2) 損害賠償請求が併合された場合
(3) 附帯処分等の申立てがある場合
(4) 調停前置との関係
(5) 訴訟上の救助
4 .訴訟進行に関する照会書
5 .第1回口頭弁論期日の指定
6 .調停手続等の情報収集
(1) 当事者からの情報収集
(2) 保護命令に関する情報収集
7 .第1回口頭弁論期日の準備
(1) 事件の振り分け方法
(2) 公示送達による場合
(3) 被告欠席の場合
(4) 付調停による場合
(5) 請求の認諾及び放棄
8 .第1回口頭弁論期日の運営
(1) 第 1 回口頭弁論期日
(2) 被告の基本方針の確認
Ⅳ争点及び証拠の整理と集中証拠調べ
1 .争点整理
(1) 離婚訴訟における争点整理の意義
(2) 争点整理を効率的に行う方策
(3) 準備書面・書証等の提出方法
2 .離婚原因の争点整理
(1) 婚姻破綻の主観的要素
(2) 婚姻破綻の客観的要素
(3) 有責配偶者からの離婚請求
3 .附帯処分等の争点整理
(1) 附帯処分等の審理方法
(2) 財産分与に関する処分
(3) 養育費の支払
(4) 親権者の指定
(5) 年金分割
4 .家庭裁判所調査官による事実の調査を命ずるための準備
5 .集中証拠調べ
(1) 集中証拠調べの実施
(2) 本人尋問及び証人尋問の実施
(3) 当事者尋問等の公開停止
(4) 遮へい措置等
Ⅴ裁判の終了
1 .判決(判断の形式)
(1) 離婚請求と附帯処分等の裁判
(2) 判決の基準時
(3) 判決によらない婚姻終了の場合の附帯処分等の裁判
2 .訴訟上の和解
(1) 訴訟上の和解の位置づけ
(2) 和解手続
(3) 和解条項
3 .請求の認諾及び放棄
(1) 請求の認諾及び放棄
(2) 離婚請求の認諾及び放棄
4 .その他の終了事由
(1) 訴えの取下げ
(2) 調停により離婚がされた場合(家事手続268条 1 項)
(3) 調停に代わる審判が確定した場合
(家事手続284条 1 項・287条)
(4) 離婚訴訟の係属中に原告又は被告が死亡した場合
(人訴27条)
5 .戸籍事務管掌者に対する判決確定等の通知
6 .履行の確保
Ⅵ参与員の立ち会う審理(人訴 9 条)
1 .制度趣旨
2 .関与対象事件
3 .参与員が関与する手続段階
4 .参与員の指定
5 .参与員に対する事前の説明
6 .参与員の権限
(1) 証拠調べへの立会い
(2) 和解の試みへの立会い
(3) 意見陳述
7 .参与員への結果連絡等
Ⅶ保全処分(仮差押え,仮処分等)
1 .旧法下における議論
2 .新法における規律
3 .管 轄
4 .保全命令の要件
5 .保全処分の種類
6 .保全命令の審理手続
7 .人事訴訟法17条1項による損害賠償請求を本案とする
保全処分における留意点
8 .財産分与を被保全権利とする保全処分における留意点
9 .子の引渡しと保全処分
10.起訴命令についての特則
11.国際裁判管轄
第 3 章 離婚訴訟における主要な論点
Ⅰ離婚原因(民770条 1 項 1 号~ 5 号)
1 .有責主義と破綻主義
(1) 各国とわが国における離婚に関する法律及び制度の動向
(2) 消極的破綻主義
2 .わが国における離婚に関する法律及び制度
3 .民法の離婚原因(民770条 1 項 1 号~ 5 号)
(1) 民法の離婚原因
(2) 不貞行為(民770条 1 項 1 号)
(3) 悪意の遺棄(民770条 1 項 2 号)
(4) 3 年以上の生死不明(民770条 1 項 3 号)
(5) 強度の精神病(民770条 1 項 4 号)
(6) 婚姻を継続し難い重大な事由(民770条 1 項 5 号)
(7) 裁量的棄却事由(民770条 2 項)
4 .離婚訴訟における離婚原因の意義
(1) 離婚訴訟の訴訟物
(2) 離婚訴訟における攻撃・防御の実際
(3) 離婚訴訟における要件事実
5 .離婚原因の見直し議論
Ⅱ有責配偶者からの離婚請求
1 .有責配偶者からの離婚請求に関する法理
(1) 問題の所在
(2) 昭和27年最高裁判決
(3) 学説の状況
(4) その後の裁判例等
2 .昭和62年大法廷判決
(1) 判決要旨
(2) 判 示
(3) 若干の説明
3 .その後の裁判例
(1) 別居期間に関する裁判例
(2) 未成熟子に関する裁判例
4 .ま と め
(1) 夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相
当の長期間に及んでいること
(2) 夫婦の間に未成熟の子が存在しないこと
(3) 相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛
酷な状態におかれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義
に反するといえるような特段の事情の認められないこと
留 意 点
(5) 要件事実
Ⅲ子の親権者の指定(民819条 2 項)
1 .子の親権者の指定及び附帯処分の審理及び裁判(人訴32条)
一般
(1) 子の親権者の指定及び附帯処分の同時解決
(2) 附帯処分等の審理
(3) 事実の調査及びそれに対する家庭裁判所調査官の関与
2 .子の親権者の指定(民819条 2 項)
(1) はじめに
(2) 判断の基準
(3) 審理の実際
(4) 事実の調査
3 .子の引渡し
(1) 趣 旨
(2) 執 行
Ⅳ子の監護に関する処分 養育費,面会交流(民766条 1 項・2 項)
1 .養 育 費
(1) はじめに
(2) 申 立 て
(3) 養育費の意義及びその算定方法
(4) 審理の実際
(5) 未払養育費
(6) 養育費の履行確保
2 .面会交流
(1) 面会交流の意義
(2) 申立ての方法及び審理の実際
(3) 面会交流の在り方
(4) 面会交流の履行確保
Ⅴ財産分与(民768条)
1 .財産分与制度の沿革
(1) はじめに
(2) 戦前の状況
(3) 民法改正と制度の導入
(4) 抽象的な条文
(5) 改正の動向
(6) 2 分の 1 のルール
(7) 立法経過を踏まえた議論
(8) 最近の立法動向
2 .財産分与の概観
(1) 財産分与の判断要素
(2) 清算的財産分与と 2 分の 1 ルール
(3) 扶養的財産分与と補充性
(4) 慰謝料的財産分与を請求する実益
3 .清算的財産分与における財産分与の基本的な算定方法
4 .清算と評価の基準時
(1) 概 観
(2) 2 つの基準時
(3) 対象財産別の基準時の判断の実際
5 .対象財産
(1) 特有財産の除外
(2) 第三者名義の財産
(3) 退 職 金
(4) 年 金
(5) 債務 (住宅ローンなど)
(6) 未払婚姻費用
6 .扶養的財産分与
7 .財産分与の方法
(1) はじめに
(2) 金銭の支払
(3) 現物の分与
(4) その他の付随的処分
8 .財産分与の手続
(1) 財産分与の合意がある場合と財産分与の申立て
(2) 財産分与義務者からの財産分与の申立て
(3) 人事訴訟手続での審理手続
(4) 財産分与と証拠収集手続
(5) 遅延損害金と仮執行宣言
9 .人事訴訟における財産分与の審理の実際
(1) 財産分与の申立て
(2) 争点整理
(3) 証拠開示と証拠調べ
(4) 和解勧告
10.財産分与の審理の長期化とその対応
(1) 人事訴訟の平均審理期間の推移と財産分与の審理
(2) 長期化やすい類型1―当事者が財産資料の提出に消極的な事案
(3) 長期化やすい類型2―特有財産性に争いがある事案
(4) 基準時に争いがある事案
(5) 合理的な主張立証計画の必要
(6) 和解の集要性
(7) 判断の手法についての工夫
Ⅵ年金分割 (厚年78条の 2 第 2 項等)
1 .年金分割とは
2 .年金制度の概要
(1) 国民年金
(2) 厚生年金
(3) 各共済年金
3 .離婚時年金分割制度
(1) 年金分割の種類
(2) 年金分割(合意分割)の内容
(3) 手続の流れ
4 .年金分割の附帯処分
(1) 手続の流れ
(2) 按分割合の定め
第 4 章 渉外離婚事件
Ⅰ渉外離婚事件の特徴
Ⅱ送達及び外国離婚判決の承認
1 .送達と国際司法共助
(1) 総 説
(2) 多国間条約
(3) 司法共助の取決め及び二国間条約
(4) 条約及び二国間共助取決めがない場合(個別の応諾)
2 .外国判決の承認
Ⅲ国際裁判管轄権に関する問題
1. 国際裁判管轄権の意義
2. 国際裁判管轄法制の整備
3. 改正法施行前の実務
4. 改正法の内容
(1) 離婚調停事件の国際裁判管轄
(2) 離婚訴訟事件の国際裁判管轄
Ⅳその他の渉外離婚事件における国際民事手続法の問題
1 .「手続は法廷地法による」の原則
2 .離婚調停の可否及び調停前置主義の適用の有無
Ⅴ国際私法に関する問題
1 .法の適用に関する通則法
2 .離婚に関する準拠法
3 .親権者の指定等に関する準拠法
4 .養育費の請求に関する準拠法
5 .財産分与に関する準拠法
6 .慰謝料請求に関する準拠法
Ⅵ渉外離婚事件の審理
Ⅶ準拠法として適用される主な外国離婚法制の概要
1 .韓 国
(1) 協議離婚
(2) 裁判上の離婚原因
(3) 未成年の子の親権等
(4) 財産分割
2 .中 国
(1) 協議離婚
(2) 調停離婚・裁判離婚
(3) 子の養育
(4) 財産の清算
3 .アメリカ合衆国
(1) 総 説
(2) 離婚手続
(3) 離婚原因
4 .ベトナム
(1) 離婚手続
(2) 合意による離婚
(3) 子の養育
(4) 財産分割
5 .フィリピン
(1) 離婚の可否
(2) 法定別居の原因
(3) 法定別居の効果
(4) 子の監護
(5) 財産の清算
6 .ブラジル
(1) 離婚の可否
(2) 合意による裁判上の別居
(3) 争訟性の裁判上の別居
(4) 間接離婚(転換離婚)
(5) 合意による直接離婚
(6) 協議離婚
(7) 離婚の効果
資料:書式例等
■資料1 :訴状(離婚請求事件)
■資料2 :訴状(損害賠償請求事件)
■資料3 :身分関係図(記載例)
■資料4 :自庁処理申立書
■資料5 :自庁処理に関する照会書
■資料6 :訴訟進行に関する照会書(原告用)
■資料7 :訴訟進行に関する照会書(調停の代理人用)
■資料8 :訴訟進行に関する照会書(被告用)
■資料9 :答弁書
■資料10:資料説明書
■資料11:婚姻生活史
■資料12:家計収支状況表
■資料13:子の監護に関する陳述書記載項目等
■資料14:子の監護に関する陳述書の記載に当たっての注意事項
■資料15:証拠等申出書
■資料16:調査命令書
■資料17:調査計画書
■資料18:判決書(簡易書式)
■資料19:判決書
■資料20:婚姻関係財産一覧表〈書式〉
■資料21:婚姻関係財産一覧表〈記載例〉
■資料22:記入に当たっての注意事項
■資料23:争点整理表
■資料24:年金分割のための情報通知書

