
実務解説 借地借家法〔第4版〕
書籍説明
信頼と実績に裏付けされた最新改訂『第4版』!!
■「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」(令和3年法律第37号)により全面施行された借地借家法,大規模災害特別措置法の改正内容を随所にわたって解説!!
■借地借家事件の紛争処理に係る新たな情報もフォローした最新版!!
はしがき
本書第3版が令和2年(2020年)に刊行されてから,早や4年が経過しました。この間,本書は多くの方々にご購読いただき,筆者一同感謝の念に堪えません。
第3版改訂当時は,いわゆるコロナ禍の最盛期であり,社会活動も一様に低迷していたところですが,令和5年WHOのコロナ緊急事態宣言の終了と5類感染症への移行により,日常の社会経済活動も戻りつつある状況にあります。
この間,借地借家関係法令の改正として,令和3年「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」(令和3年法律第37号)が成立し,借地借家法及び大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法の一部が改正されました。これらの改正内容については,第1編第1章第3節の〔9〕において簡単に紹介するとともに,関係条文を参考までに登載しました。また,その他関連する箇所についても,今日判明する範囲で加筆補正を行いました(第1編第2章第2節の「定期借地権」40頁以下,同章第3節の「定期借家権の設定」56頁以下ほか)。
なお,令和4年に「民事訴訟法等の一部を改正する法律」(令和4年法律第48号)・令和5年に「民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」(令和5年法律第53号)が公布され,民事訴訟手続の全面的デジタル化に向けた改革が行われつつあり,今後の借地借家関係の紛争解決手続においても少なからず影響を及ぼすものと考えられ,今後の検討課題となるものと思われます。
最後に本書第4版の刊行にあたり宮根茂樹さんに大変お世話になりました。ここに厚く御礼申し上げます。
2024年10月
澤野 順彦
執筆者紹介
澤野 順彦:弁護士,不動産鑑定士,(元)立教大学大学院法務研究科教授,法学博士
吉田 修平:弁護士,政策研究大学院大学特別講師
荒木 新五:弁護士,(前)学習院大学大学院法務研究科教授
藤井 俊二:創価大学名誉教授,博士(法学),日本土地法学会監事・関東支部長
■書籍内容
目 次
第1編 借地借家法の基礎知識
第1章 借地借家法の沿革
第1節 借地・借家法制定以前
〔1〕旧民法の制定
〔2〕明治民法の誕生
〔3〕「地上権ニ関スル法律」の制定
第2節 借地法・借家法の成立
〔1〕建物保護法の制定
〔2〕借地法・借家法の成立
⑴ 第1次借地法案の提出 ⑵ 借地法・借家法の成立
〔3〕地代家賃統制令の制定
〔4〕借地法・借家法の改正
⑴ 昭和16年の借地法・借家法の改正 ⑵ 第2次大戦後の借地・借家立法 ⑶ 昭和30年代における借地・借家法改正事業 ⑷ 昭和41年の借地・借家法の改正
第3節 借地借家法の成立
〔1〕「借地借家法」の立法経緯
⑴ 借地・借家法改正に関する問題点の提起 ⑵ 借地法・借家法改正要綱試案 ⑶ 借地法等改正要綱
〔2〕借地借家法の成立
⑴ 成立の経緯 ⑵ 借地借家法の特色
〔3〕定期建物賃貸借制度の新設等
〔4〕終身建物賃貸借の新設
〔5〕事業用定期借地権等の改正
〔6〕非訟事件手続法の施行に伴う借地借家法の一部改正
〔7〕大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法の制定
〔8〕民法(債権関係)の一部改正等
〔9〕デジタル社会の形成を図るための借地借家法の改正
第2章 借地・借家法の内容
第1節 はじめに
第2節 借 地 法
〔1〕借地法の対象
〔2〕借地権の対抗力
〔3〕借地法上の借地権
⑴ 既存借地権 ⑵ 既存借地権の存続期間 ⑶ 建物の朽廃による借地権の消滅 ⑷ 法定更新等 ⑸ 正当事由 ⑹ 建物買取請求権 ⑺ 賃借権の譲渡・転貸 ⑻ 借地条件の変更等 ⑼ 地代等の増減請求
〔4〕借地借家法上の借地権
⑴ 借地権の種類 ⑵ 普通借地権 ⑶ 定期借地権 ⑷ 事業用定期借地権等 ⑸ 建物譲渡特約付借地権
〔5〕自己借地権
第3節 借 家 法
〔1〕借家法の対象
〔2〕借家権の対抗力
〔3〕借家権の種類及びその内容
⑴ 普通借家権 ⑵ 定期建物賃貸借 ⑶ 取壊し予定の建物の賃貸借
第3章 借地借家紛争の類型とその要点
第1節 はじめに
第2節 借地関係
〔1〕借地権設定時における紛争
〔2〕借地契約継続中における紛争
⑴ 地代増減請求に関する紛争 ⑵ 賃借権の譲渡,借地条件の変更等に関する紛争 ⑶ 借地契約上の債務不履行による契約解除等に関する紛争
第3節 借地権消滅時に関する紛争
〔1〕建物の朽廃に関する紛争
〔2〕期間満了による更新拒絶に関する紛争
第4節 借家関係
〔1〕借家権設定時における紛争
〔2〕借家契約継続中における紛争
⑴ 賃料増減請求に関する紛争 ⑵ 賃借権の無断譲渡・転貸に関する紛争 ⑶ 用法違反に関する紛争 ⑷ 修繕義務履行等に関する紛争 ⑸ 借家契約上の債務不履行に関する紛争
〔3〕借家契約終了時における紛争
⑴ 更新拒絶・解約申入れによる賃貸借の終了に関する紛争 ⑵ 原状回復に関する紛争 ⑶ 敷金の返還等に関する紛争
第2編 契約の締結
第1章 借地権の設定
第1節 普通借地権
〔1〕普通借地権とは
〔2〕普通借地契約の目的について
⑴ 建物を所有する目的 ⑵ 一時使用目的での借地権の設定
〔3〕普通借地契約の成立について
⑴ 権利金 ⑵ 使用・収益の範囲
〔4〕普通借地契約の効力について
⑴ 地主の土地の修繕義務(民606条1項) ⑵ 借地人の無断譲渡・転貸をしない義務 ⑶ 借地人の土地の保管義務
〔5〕普通借地契約の終了について
⑴ 債務不履行による解除事由の明定 ⑵ 賃料の不払いによる解除事由 ⑶ 無断増改築禁止の特約違反による解除事由 ⑷ その他の解除事由
〔6〕賃料の支払について
⑴ 賃料などの名称について ⑵ 支払方法 ⑶ 賃料増減請求権について
第2節 定期借地権
〔1〕はじめに
〔2〕定期借地権の存続期間について
⑴ 50年以上の期間の定め ⑵ 確定期限の定めをしなければならない
〔3〕契約成立時点での一時金の授受
⑴ 一時金の種類 ⑵ 保証金について ⑶ 権利金
〔4〕定期借地権の基礎となる権利
⑴ 賃借権と地上権 ⑵ 定期借地権を設定するにあたり賃借権と地上権のいずれを選択するか ⑶ 譲渡・転貸の自由について ⑷ 解除と消滅請求 ⑸ 土地の修補義務について ⑹ 固定資産税の支払について ⑺ 定期所有権について
〔5〕定期借地権における賃料と地代について
⑴ 賃料と地代との呼称について ⑵ 支払方法 ⑶ 地代等の増減方法について ⑷ 純賃料方式
〔6〕定期借地権における特約
⑴ 建物・外構などについての特約 ⑵ 共用部分の使用についての特約 ⑶ 街作りの特約について
〔7〕契約の更新がないこと
⑴ 定期借地契約は更新されない ⑵ 再契約について ⑶ 再契約の予約について
〔8〕建物買取請求権がないこと
⑴ 建物買取請求権の不存在 ⑵ 原状回復の範囲について ⑶ 建物が存在するままで土地を返還する旨の特約について
〔9〕書面によること
〔10〕定借マンションについて
⑴ 定借マンションとは ⑵ 定期借地権の準共有 ⑶ 地代の支払義務について ⑷ 定借マンションの管理の考え方について
第3節 事業用定期借地権
〔1〕はじめに
〔2〕事業用定期借地権の対象となる建物
⑴ 事業用建物 ⑵ 一部に居住用建物を含む場合 ⑶ 限界事例について
〔3〕事業用建物の用法の変更
⑴ 当事者間では事業用定期借地権の設定契約が作成されたが,実際に建築されたのは居住用の建物であった場合について ⑵ 居住用の建物の建築が合意されていた場合 ⑶ 事業用の建物が居住用に改装された場合 ⑷ 登記の効力
〔4〕期間の定めに反した場合
⑴ 存続期間の定め ⑵ 存続期間の定めに反した場合
〔5〕事業用定期借地権の期間の延長
⑴ 期間の延長の範囲 ⑵ 期間の延長の方法 ⑶ 建物再築の場合
〔6〕事業用定期借地契約の中途解約
⑴ 中途解約条項を定める意義 ⑵ 中途解約条項の内容 ⑶ 中途解約の特約を定める際に考慮すべき要素
〔7〕事業用定期借地権は更新されないこと
⑴ 事業用定期借地権の再契約 ⑵ 再契約の際に支払われる金銭 ⑶ 再契約の予約
〔8〕事業用定期借地権終了時の事業用建物の取得について
⑴ 原 則 ⑵ 事業用建物を買い取る旨の特約
〔9〕契約は公正証書によらなければならない
⑴ 公正証書によらない事業用定期借地権設定契約の効力 ⑵ 公正証書に先立つ覚書の効力
第4節 建物譲渡特約付借地権
〔1〕建物譲渡特約付借地権とは
⑴ 意 義 ⑵ 要 件 ⑶ 特約の内容 ⑷ 契約設定時の注意事項
〔2〕相当の対価について
⑴ 相当の対価とは ⑵ 相当の対価と借地権価格 ⑶ 相当の対価の決め方
〔3〕建物譲渡特約付借地権の公示(登記)
〔4〕存続期間中の建物滅失について
⑴ 再築の可否 ⑵ 再築後の法律関係 ⑶ 建物再築をめぐるいくつかの問題点
〔5〕借地上の建物賃借人(借家人)との関係
⑴ 法定借家権 ⑵ 借地人自身が建物の利用を継続する場合 ⑶ 定期借家権の導入
〔6〕建物譲渡特約の付される借地権は,定期借地権か,普通借地権か
⑴ いずれでもよい ⑵ 普通借地権に建物譲渡特約を付した場合 ⑶ 定期借地権に建物譲渡特約を付した場合
第2章 借家権の設定
第1節 普通借家権
〔1〕はじめに
〔2〕敷金・保証金について
⑴ 敷金・保証金の意義 ⑵ 敷金・保証金の移転 ⑶ 高額な預り金の問題
〔3〕賃料増減請求権について
⑴ 根 拠 ⑵ 増額請求について ⑶ 減額請求について ⑷ 賃料自動改定条項の拘束力について ⑸ 増減請求権を排除する旨の特約について ⑹ サブリース契約への適用について
〔4〕存続期間について
⑴ はじめに ⑵ 期間の定めのある契約 ⑶ 期間の定めのない契約について
〔5〕原状回復について
⑴ 原状回復とは ⑵ 原状回復の内容 ⑶ 原状回復の具体的な作業について ⑷ 原状回復の程度について
第2節 定期借家権
〔1〕はじめに
⑴ 定期借家権の成立 ⑵ 定期借家権の概要
〔2〕定期借家契約を締結する場合
⑴ 書面による契約の締結 ⑵ 先に合意のみをしておいて,後に書面を作成することの可否 ⑶ 将来効力を生じさせる行為を現在行う場合(定期借家契約の予約)
〔3〕定期借家契約は期間の定めのある契約でなければならない
⑴ 期間の定めがある契約であること ⑵ 定期借家権においては1年未満の短期契約が認められる ⑶ 長期契約について
〔4〕定期借家契約は更新がない
⑴ 更新しない契約 ⑵ 再契約について
〔5〕事前説明文書による説明
⑴ 事前説明文書の作成と交付 ⑵ 事前説明文書による説明 ⑶ 事前の説明を要することについて ⑷ 事前説明を怠った場合の効力 ⑸ 重要事項説明及びITとの関係
〔6〕定期借家契約を終了させる旨の通知
⑴ 意 義 ⑵ 再契約をする場合について
〔7〕法定中途解約
⑴ 中途解約について ⑵ 定期借家権における強行規定としての中途解約 ⑶ 借地借家法38条7項の適用範囲
〔8〕賃料増減請求権の排除について
⑴ 賃料増減請求権排除の特約 ⑵ 特約の決め方について ⑶ 定期借家において考えることのできる賃料の定め方(類型)について
〔9〕普通借家から定期借家への切替えについて
⑴ 定期借家契約と普通借家契約の併存 ⑵ 普通借家契約を定期借家契約に切り替えることが可能か
〔10〕居住用建物についての定期借家制度の見直しについて
⑴ 定期借家制度の見直し ⑵ 見直しが行われるべき事項について
〔11〕定期借家権と保証金について
⑴ 保証金とは ⑵ 定期借家において高額の保証金を授受することは許されるか
第3節 終身借家権
〔1〕終身借家制度の成立
⑴ 成立に至った背景 ⑵ 高齢者の居住の安定確保に関する法律
〔2〕終身借家権の意義
⑴ 終身借家権とは ⑵ 終身借家権の構成について ⑶ 終身借家制度の特徴について
〔3〕書面による契約であること
〔4〕認可事業であること
⑴ 都道府県知事の認可 ⑵ 認可の基準
〔5〕借家人の資格
⑴ 借家人となり得る者 ⑵ 配偶者について
〔6〕建物の基準
⑴ 賃貸住宅の基準 ⑵ 国などからの補助
〔7〕「終(つい)の住み家」であること
⑴ 不確定期限付き賃貸借契約(高齢者住まい52条・54条2号) ⑵ 相続権の排除(高齢者住まい52条)
〔8〕期間付死亡時終了建物賃貸借制度の新設
⑴ 意義・内容 ⑵ 要 件
〔9〕中途解約
⑴ 家主からの解約申出制度 ⑵ 借家人からの解約申入れ(高齢者住まい59条) ⑶ 強行規定 ⑷ 借家人に不利な特約 ⑸ 前払い賃料の処理
〔10〕高齢者が死亡した場合の同居者の居住の保護
⑴ 借家人が死亡した後の同居者の一時居住について(高齢者住まい61条) ⑵ 終身借家における同居配偶者らの継続居住の保護(高齢者住まい62条) ⑶ 期間付死亡時終了建物賃貸借の場合 ⑷ 新たに締結する契約の条件について
〔11〕賃料増減請求権について
⑴ 賃料改定特約がある場合(高齢者住まい63条) ⑵ 契約類型の多様化
〔12〕一時金の授受について
⑴ 権利金などの設定の対価の授受の禁止(高齢者住まい54条4号) ⑵ 賃料を前払いする場合について
〔13〕譲渡又は転貸の禁止
〔14〕仮入居について
⑴ 終身借家権に先立っての仮入居 ⑵ 仮入居の期間について
〔15〕契約の主体について
⑴ 契約の主体が単数の場合 ⑵ 契約の主体が複数の場合について
〔16〕契約類型について
〔17〕サービス付き高齢者向け住宅について
⑴ 高齢者住まい法の改正 ⑵ サービス付き高齢者向け住宅制度の概要
第3編 契約中の紛争処理
第1章 借地に関する紛争とその処理
第1節 総 説
〔1〕借地契約中の紛争類型
〔2〕紛争処理の態様
第2節 地代等の増減請求
〔1〕はじめに
〔2〕地代等増減請求権
⑴ 地代等増減に関する特約の効力 ⑵ 地代等の増減請求をすることができる場合
〔3〕地代等増減請求の効果
⑴ 請求の不遡及性 ⑵ 形成的効力 ⑶ 裁判確定までの支払額 ⑷ 裁判確定後の地代等清算
〔4〕地代等増減請求についての裁判手続
⑴ 調停前置主義の採用 ⑵ 調停手続の概要 ⑶ 調停に代わる決定 ⑷ 調停条項裁定 ⑸ 訴 訟
第3節 借地条件の変更
〔1〕土地の利用と借地条件
⑴ 借地条件の意義 ⑵ 借地条件の有効性とその限界 ⑶ 「建物の種類,構造,規模又は用途を制限する旨の借地条件」と「増改築を制限する旨の借地条件」の関係
〔2〕借地条件の違反
⑴ 条件違反の有無 ⑵ 条件違反を理由とする解除の可否
〔3〕条件変更の合意
〔4〕借地条件変更の裁判
⑴ 借地非訟事件手続の概要 ⑵ 借地条件変更の裁判制度の沿革と意義 ⑶ 借地条件変更申立事件の当事者 ⑷ 申立ての趣旨 ⑸ 借地条件の存在(形式的要件) ⑹ 事情変更による借地条件変更の相当性(実質的要件) ⑺ 裁判所が考慮すべき事情 ⑻ 付随的裁判 ⑼ 裁 判(決定主文) ⑽ 定期借地権等
第4節 借地上建物の増改築
〔1〕増改築の可否
⑴ 増改築の意義 ⑵ 増改築の自由 ⑶ 増改築禁止特約とその違反の効果
〔2〕増改築許可の裁判
⑴ 増改築許可の裁判制度の沿革と意義 ⑵ 条件変更の裁判と増改築許可の裁判との関係 ⑶ 増改築許可申立事件の当事者 ⑷ 申立ての趣旨 ⑸ 増改築禁止特約の存在(形式的要件) ⑹ 増改築の相当性(実質的要件) ⑺ 裁判所が考慮すべき事情 ⑻ 付随的裁判 ⑼ 裁 判(決定主文) ⑽ 定期借地権等
〔3〕更新後の再築許可の裁判
⑴ 旧借地権についての再築の可否 ⑵ 普通借地権についての再築の可否 ⑶ 更新後の再築許可の裁判
第5節 借地権譲渡・土地転貸
〔1〕借地権譲渡・土地転貸の可否
⑴ 借地権が地上権である場合 ⑵ 借地権が土地賃借権である場合
〔2〕借地権の譲渡又は土地転貸と,借地権設定者との関係
⑴ 借地権と借地上建物の関係 ⑵ 借地権譲渡又は土地転貸と借地権設定者に対する対抗関係 ⑶ 借地権譲渡があったとき ⑷ 土地転貸があったとき ⑸ 土地賃借人による承諾等の取得
〔3〕土地賃借権の無断譲渡又は無断土地転貸
⑴ 承諾等の要否(譲渡・転貸該当性) ⑵ 土地賃借権譲渡又は土地転貸につき承諾等がない場合 ⑶ 無断譲渡・無断転貸による解除
〔4〕土地賃借権譲渡・土地転貸許可の裁判
⑴ 譲渡・転貸許可の裁判制度の沿革と意義 ⑵ 土地賃借権譲渡・土地転貸許可申立事件の当事者 ⑶ 申立ての時期 ⑷ 申立ての趣旨 ⑸ 「賃借地上建物を第三者に譲渡しようとする場合」であること(形式的要件) ⑹ 第三者が賃借権を取得し,又は転借しても借地権設定者に不利となるおそれがないこと(実質的要件) ⑺ 裁判所が考慮すべき事情 ⑻ 付随的裁判 ⑼ 裁 判(決定主文) ⑽ 定期借地権等 ⑾ 他の借地非訟事件との関係
〔5〕競売等に伴う土地賃借権譲受許可の裁判
⑴ 競売等に伴う土地賃借権譲受許可の裁判制度の沿革と意義 ⑵ 買受人譲受許可申立事件の当事者 ⑶ 申立ての時期 ⑷ 申立ての趣旨 ⑸ 「賃借地上建物を競売又は公売により取得した場合」であること(形式的要件) ⑹ 買受人が土地賃借権を取得しても賃貸人に不利となるおそれがないこと(実質的要件) ⑺ 裁判所が考慮すべき事情(実質的要件) ⑻ 付随的裁判 ⑼ 裁 判(決定主文) ⑽ 定期借地権等 ⑾ 他の借地非訟事件との関係
〔6〕借地権設定者の建物及び土地賃借権譲受等の裁判
⑴ 借地権設定者の建物・賃借権譲受等の裁判制度の沿革と意義 ⑵ 設定者譲受等申立事件の当事者等 ⑶ 申立ての時期 ⑷ 申立ての趣旨 ⑸ 適法な,譲渡等許可申立て又は買受人譲受許可申立てがあること(形式的要件) ⑹ 裁判所の裁量 ⑺ 相当の対価又は転貸条件と義務の同時履行 ⑻ 裁判(決定主文)とその効果 ⑼ 定期借地権等
第6節 土地の譲渡
〔1〕総 説
⑴ 土地譲渡の可否 ⑵ 土地譲渡に関する問題点
〔2〕借地権の対抗力
⑴ 借地権の対抗力の意義 ⑵ 地上権設定登記・土地賃借権設定登記による対抗 ⑶ 建物の登記による対抗 ⑷ 建物が滅失した場合における掲示による対抗等 ⑸ 転借地権が設定されている場合 ⑹ 定期借地権等の対抗力 ⑺ 抵当権実行としての担保不動産競売による土地譲渡の場合 ⑻ 借地権を土地譲受人に対抗することができない場合
〔3〕土地譲渡に伴う借地権設定者たる地位の承継
⑴ 借地権設定者たる地位承継の有無 ⑵ 借地権者の承諾の要否 ⑶ 借地権設定者たる地位承継の対抗 ⑷ 借地権設定者たる地位承継の効果
第7節 借地権又は土地の相続
〔1〕
借地権の相続
⑴ 借地上建物と借地権の相続性 ⑵ 共同相続の場合
〔2〕土地の相続
⑴ 借地権設定者たる地位の承継 ⑵ 共同相続の場合
第8節 土地の用法違反・地代等の不払い
〔1〕土地の用法
⑴ 土地賃借権である場合 ⑵ 地上権である場合
〔2〕用法違反
⑴ 総 説 ⑵ 建物を築造しないこと ⑶ 駐車場としての利用 ⑷ 建物の種類,越境等 ⑸ 土地の掘り下げ等
〔3〕用法違反の効果
〔4〕地代等不払い
⑴ 借地権が地上権である場合 ⑵ 借地権が土地賃借権である場合
第2章 借家に関する紛争とその処理
第1節 総 説
〔1〕建物賃貸借契約中の紛争類型
〔2〕紛争処理の態様
第2節 賃料の増減請求
〔1〕はじめに
〔2〕賃料増減請求権
⑴ 賃料増減に関する特約の効力 ⑵ 賃料の増減請求をすることができる場合
〔3〕賃料増減請求の効果
⑴ 請求の不遡及性 ⑵ 形成的効力 ⑶ 裁判確定までの支払額 ⑷ 裁判確定後の賃料の清算
〔4〕賃料増減請求についての裁判手続
〔5〕サブリースの場合における賃料増減請求
⑴ いわゆるサブリースに関する問題状況 ⑵ サブリースと賃料増減請求権
第3節 賃料債権の譲渡と差押え・担保不動産収益執行
〔1〕はじめに
〔2〕賃料債権の譲渡又は差押えの可否
⑴ 賃料債権譲渡の可否 ⑵ 一般債権者による賃料債権差押え ⑶ 抵当権者による賃料債権に対する物上代位権行使としての差押えの可否
〔3〕賃料に対する抵当権者の物上代位権行使と他の権利者との関係
⑴ 賃料債権の譲渡と物上代位権行使 ⑵ 賃料債権に対する一般債権者の差押えと抵当権者による物上代位権行使としての差押えの競合 ⑶ 複数の抵当権者がいる場合 ⑷ 物上代位権行使としての差押えと第三債務者の反対債権による相殺
〔4〕担保不動産収益執行
第4節 建物賃借権譲渡・建物転貸
〔1〕建物賃借権譲渡・建物転貸の可否
⑴ 賃貸人の承諾の必要性 ⑵ 借地の場合との相違
〔2〕建物賃借権譲渡・建物転貸につき賃貸人の承諾がある場合の法律関係
⑴ 建物賃借権譲渡につき賃貸人の承諾がある場合 ⑵ 建物転貸につき賃貸人の承諾がある場合
〔3〕建物賃借権の無断譲渡又は無断建物転貸
⑴ 承諾の要否(譲渡・転貸該当性) ⑵ 建物賃借権譲渡又は建物転貸につき賃貸人の承諾がない場合 ⑶ 無断賃借権譲渡・無断転貸による解除
第5節 建物の譲渡・敷地借地権の消滅
〔1〕総 説
⑴ 建物譲渡に関する問題点 ⑵ 敷地借地権の消滅等
〔2〕建物譲渡と建物賃借権の対抗力
⑴ 賃借権設定登記による対抗 ⑵ 建物の引渡しによる対抗 ⑶ 対抗問題 ⑷ 賃借権を建物譲受人に対抗することができない場合
〔3〕短期賃借権保護制度とその廃止
⑴ 短期賃借権保護制度の趣旨 ⑵ 短期賃借権保護制度の廃止
〔4〕賃借権優先同意とその登記による対抗
⑴ 賃借権優先同意制度の創設とその意義 ⑵ 賃借権優先が生じる場合
〔5〕引渡猶予制度
⑴ 引渡猶予制度の創設と意義 ⑵ 建物引渡猶予が認められる場合
〔6〕建物譲渡に伴う賃貸人たる地位の承継
⑴ 賃貸人たる地位の承継 ⑵ 敷金返還債務の承継
〔7〕敷地借地権の消滅
⑴ 借地契約の合意解除と建物賃借権 ⑵ 借地権設定者の建物等譲受許可の裁判と建物賃借権 ⑶ 借地権者又は第三者による建物買取請求権と建物賃借権 ⑷ 借地権の存続期間満了による消滅と借地上建物の賃借人保護 ⑸ 建物譲渡特約付借地権における建物譲渡特約の履行による借地権消滅と建物賃借権
第6節 建物賃借権の相続・承継又は建物の相続
〔1〕建物賃借権の相続
〔2〕居住用建物賃借権の承継
⑴ 居住者による建物賃借権承継の制度 ⑵ 建物賃借権承継の要件 ⑶ 同居者の建物賃借権承継の効果
〔3〕建物の相続
第7節 建物の修繕・用法違反・賃料不払い
〔1〕建物の修繕
⑴ 賃貸人の修繕義務とその免除 ⑵ 賃貸人の修繕義務不履行
〔2〕建物の用法違反
⑴ 建物の用法 ⑵ 建物の用法違反 ⑶ 用法違反の効果
〔3〕賃料不払い
⑴ 債務不履行による解除 ⑵ 建物賃借人のための保証人の責任
第4編 契約終了時の紛争処理
第1章 普通借地権
第1節 契約の更新
〔1〕概 要
〔2〕更新の要件
⑴ 更新請求による更新の要件 ⑵ 法定更新
〔3〕更新の効果
〔4〕合意更新
⑴ はじめに ⑵ 更新の合意と効果 ⑶ 更新の合意か否かの判断 ⑷ 更新料
〔5〕建物買取請求権
⑴ はじめに ⑵ 建物買取請求権の性質 ⑶ 建物買取請求権の成立 ⑷ 建物買取請求権の行使者 ⑸ 建物買取請求権行使の相手方 ⑹ 建物買取請求権行使の時期 ⑺ 建物買取請求権の行使の効果
第2節 正当事由
〔1〕概 要
〔2〕正当事由の判断基準
⑴ 当事者双方の土地の使用の必要性 ⑵ 従前の経過 ⑶ 土地の利用状況 ⑷ 土地の存する地域の状況 ⑸ 借地上の建物の賃借人の事情 ⑹ 立退料その他の財産上の給付の申出
〔3〕正当事由の有無判断の基準時
第3節 借地権者の建物収去義務及び原状回復義務
第2章 定期借地権等
第1節 狭義の定期借地権の終了
〔1〕概 要
〔2〕定期借地権の終了
⑴ 借地上の建物の処理 ⑵ 有益費償還請求 ⑶ 建物買取請求権 ⑷ 借地上の建物の賃借人 ⑸ 存続期間満了後における土地使用の継続
第2節 事業用定期借地権等の終了
〔1〕概 要
〔2〕存続期間30年以上50年未満の事業用定期借地権
〔3〕存続期間10年以上30年未満の事業用借地権
第3節 建物譲渡特約付借地権の終了
〔1〕概 要
〔2〕建物譲渡特約
〔3〕法定借家権
第3章 普通借家
第1節 借家契約の終了と更新
〔1〕存続期間の定めがある借家契約の終了と法定更新
⑴ 存続期間の満了と更新 ⑵ 更新料
〔2〕存続期間の定めのない借家契約の終了
第2節 正当事由
〔1〕概 要
〔2〕建物の使用を必要とする事情
⑴ 居住の必要性 ⑵ 営業の必要性 ⑶ 第三者が使用を必要とする場合 ⑷ 建物売却の必要性 ⑸ 借地の明渡しの必要性 ⑹ その他付随的ファクター
〔3〕賃貸借に関する従前の経過
⑴ 借家関係設定当初の事情 ⑵ 契約締結時に存していた事情の変更 ⑶ 賃料額 ⑷ 当事者間の信頼関係の破壊の有無
〔4〕建物の利用状況
〔5〕建物の現況
⑴ 建物の朽廃が切迫している ⑵ 朽廃にやや遠い場合 ⑶ 建物の高度利用
第3節 契約解除・合意解約・約定解除
〔1〕契約解除
〔2〕合意解約
〔3〕約定解除
第4節 原状回復
〔1〕借家人の原状回復義務
〔2〕通常損耗分の修補
〔3〕通常損耗について原状回復義務(通常損耗補修特約)を借家
人に負わせる特約
⑴ 通常損耗補修特約の成否 ⑵ 通常損耗補修特約の効力
第5節 造作買取請求権
〔1〕概 要
〔2〕造作とは
〔3〕造作買取りの当事者
〔4〕造作買取請求権の成立時期
〔5〕造作買取請求権の行使
〔6〕造作買取請求権排除特約
第4章 定期借家(定期建物賃貸借)
第1節 定期借家の終了
〔1〕概 要
〔2〕終了する旨の通知
⑴ 通知期間を設けた趣旨 ⑵ 通知の相手方 ⑶ 通知の方式 ⑷ 「対抗することができない」とは ⑸ 通知が遅れた場合 ⑹ 期間満了後も借家人が賃借建物の使用を継続している場合
第2節 定期借家の中途解約及び解除
〔1〕中途解約
⑴ 床面積200㎡未満の居住用建物 ⑵ 居住用以外の建物及び床面積200㎡を超える居住用建物
〔2〕解 除
第3節 再 契 約
第5編 借地借家に伴う経済的問題
第1章 借 地
第1節 借地に伴う経済的問題
〔1〕借地権設定時の経済的問題
〔2〕借地権存続中の経済的問題
〔3〕借地権消滅時の経済的問題
第2節 借地権価格
〔1〕借地権価格の意義
〔2〕具体的事件と借地権価格
⑴ 借地当事者間の売買 ⑵ 建物買取請求 ⑶ 立退料 ⑷ 債務不履行解除
〔3〕借地権価格の実質的内容
〔4〕借地権価格の評価方法
第3節 地 代
〔1〕新規地代と継続地代
〔2〕新規地代
〔3〕継続地代
⑴ 継続地代の性質 ⑵ 継続地代の算定方法 ⑶ 継続地代の決定
第4節 借地の立退料
〔1〕正当事由の補強条件としての立退料
〔2〕借地の立退料の内容
〔3〕正当事由との関係
第5節 更 新 料
〔1〕更新料の意義
〔2〕更新料の性格
〔3〕更新料支払の慣行の有無
〔4〕更新料の額
〔5〕更新料支払契約の有効性とその性格
〔6〕合意更新料の不払いの効果
〔7〕借地非訟事件と更新料
〔8〕更新料の経済的問題
⑴ 権利金との関係 ⑵ 借地権価格との関係 ⑶ 賃料との関係
〔9〕更新料の今後
第6節 借地非訟事件に係る承諾料
〔1〕賃借権譲渡承諾料
〔2〕借地条件の変更及び増改築承諾料
第7節 建物買取請求権
〔1〕建物買取請求権の種類,根拠
〔2〕建物買取請求権の存在理由
〔3〕建物買取請求権行使の要件
〔4〕建物の時価
⑴ 時価算定の基準時 ⑵ 「建物の時価」の意味 ⑶ 建物の時価の内容 ⑷ 建物の時価と借地権価格 ⑸ 場所的利益
〔5〕場所的利益についての判例の動向
〔6〕場所的利益の算定方法
〔7〕建物の時価算定上の個別の問題
⑴ 建物に抵当権等が設定されている場合 ⑵ 建物が賃貸されている場合 ⑶ 契約に違反した建物が建築されている場合 ⑷ 賃借権の無断譲受人が増改築した場合 ⑸ 短期賃貸借期間が満了した場合 ⑹ 賃借権の無断譲渡を理由として契約が解除された後に,賃料相当損害金の不払いがあった場合 ⑺ 所有者の異なる数筆の土地に跨って建物が存在する場合
第2章 借 家
第1節 借家に伴う経済的問題
〔1〕借家権設定時の経済的問題
〔2〕借家権存続中の経済的問題
〔3〕借家権消滅時の経済的問題
第2節 借家権価格
〔1〕建物賃貸借における敷地の利用関係
〔2〕借家権の価格とは
〔3〕借家権価格の評価方法
第3節 家 賃
〔1〕新規家賃
〔2〕継続賃料
第4節 借家の立退料
判例索引
事項索引
参考文献